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PressClub Japan · 記事.

ニューBMW F 800 S/ST プレスキット

BMW Motorradは製品攻勢を強力に継続すべく、わずか47ヶ月の開発期間(包括的コンセプトの検討を含む)で、4番目のモデル・シリーズとしてスポーティなF 800 Sおよびツーリング志向のF 800 STを発表します。このシリーズは単気筒モデルF 650と水平対向2気筒モデルとの間を埋めるものです。

F シリーズ

プレス担当者.

Yosuke Shiroshita
BMW グループ

電話番号: +81-3-6259-8017
Fax: +81-3-6259-8009

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著者.

Yosuke Shiroshita
BMW グループ

本プレスキットの内容は、ドイツ国内市場向け(2006年3月現在)の仕様を基準として記載されており、その他の市場においては仕様、標準装備品、オプション設定などが異 なる場合もあります。また、車体寸法、エンジン出力などはBMW AG発表のデータとなるため、日本仕様とは異なる場合があります。なお、仕様は随時変更される可能性があ りますので予めご了承ください。 1. 装備品および技術的特徴 2. 装備 3. エンジン性能曲線図 4. 主要諸元

BMW Motorradは製品攻勢を強力に継続すべく、わずか47ヶ月の開発期間(包括的コンセプトの検討を含む)で、4番目のモデル・シリーズとしてスポーティなF
800 Sおよびツーリング志向のF 800 STを発表します。このシリーズは単気筒モデルF 650と水平対向2気筒モデルとの間を埋めるものです。

搭載されるエンジンは最新の4バルブ・テクノロジーを採用した並列2気筒(パラレル・ツイン)です。排気量798 ccのエンジンは、オーストリアのエンジン専門メーカー
であるボンバルディア・ロータックス社の密接な協力のもと、BMW Motorradが開発設計しました。このパワー・ユニットは、オーストリアのロータックス工場で
BMWの基準と仕様に従って製造され、最終組立のためにベルリンのBMW Motorrad組立ラインに直接送られます。

このエンジンは、パワフルなキャラクターとともに、素晴しいトルクと牽引力、優れた反応性と燃費の良さを全て兼ね備えています。最高出力は62.5 kW(85 ps)
/ 8,000 rpm、最大トルクは86 Nm / 5,800 rpmを発生します。

BMWの新型並列2気筒(パラレル・ツイン)エンジンは、量産のモーターサイクルとしては世界初の独自コンセプトによって慣性質量バランスを取っています。これはスイング
運動をするコンロッドを追加することで一次慣性質量および二次慣性質量を打ち消し、振動を最小限に抑えながらソフトで滑らかな2気筒の作動を実現するというものです。

クローズドループ制御式3元触媒コンバーターや最適な環境保護性能を確保するための二次エア・システムの採用など、このパワー・ユニットの主な装備を語るだけでは、この
BMWの新型モーターサイクルの優れた潜在能力を十分に説明することはできません。例えばSモデルの場合、静止状態から時速100キロに達するまでにわずか3.5秒しか必
要とせず、エンジンの全回転域にわたって高い柔軟性を提供します。細身で空力的に最適化されたフェアリングは高速走行時に効果を発揮し、乾燥重量182 kgという軽さが
このモーターサイクルのダイナミックなパフォーマンスに大きく貢献しています。

燃料が満タン状態においても、この筋肉質なバイクは重量が204 kgで、STモデルはSよりも約5 kg重いだけです。これはBMWならではの軽量化技術によるもので、
重量が最適化された非常に頑丈なアルミ製フレームや魅力的なデザインのアルミ製シングル・スイング・アームを見ただけでも、BMWが本気で取り組んだことがわかります。

極めて正確なステアリング精度の基となるサスペンションとランニング・ギアは、走行安定性と最適なハンドリングに関して高い水準を達成する設計です。さらに、ライダーおよ
びパッセンジャー共に最適なシートの快適性や模範的な安全性など、BMW製品ならではの特徴ももちろん備えています。

さらにF 800シリーズにはBMW Motorradの新しい2チャンネル・アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を工場オプションで装備可能です。また、他モデ
ル同様、広範囲に及ぶ特別装備品を用意してお客様のさらなるニーズに応え、最高品質の個性化オプションを提供します。

ニューF 800S/STの主要装備品一覧
 優れた走りと素晴らしい俊敏性を備えたコンパクト・スポーツ/スポーツ・ツーリング・マシン
 4バルブ・テクノロジーと独自の慣性質量補正機能を採用した、排気量798 ccの水冷並列2気筒エンジン
 最高出力62.5 kW(85 ps) / 8,000 rpm、最大トルク86 Nm / 5,800 rpm
 新Kシリーズ同様の、ロッカーアーム式バルブ駆動を採用したDOHCエンジン
 BMS-Kエンジン制御システムにより電子制御されるインテーク・マニフォールド内燃料噴射、O2センサー、クローズドループ制御式の3元触媒コンバーター、二次エ
ア・システム
 クロスレシオを採用した高性能6速ギアボックス
 静粛性、長寿命を特徴とするベルト駆動
 ねじれ剛性の高いアルミ製フレーム
 丈夫なテレスコピック・フォーク、アウター・チューブ径は43 mm
 鋳造アルミ製シングル・スイング・アーム
 取り回ししやすく優れた精度のステアリング
 乾燥重量/装備重量(燃料満タン時):
182 kg / 204 kg(S)、187 kg / 209 kg(ST)
 ライダーおよびパッセンジャー用の快適性の高いシート
 優れた風防機能及び空力性能
 低重心化のためシート下に配置された燃料タンクと、給油しやすい燃料給油口
 高性能ブレーキ・システム(ABSも工場オプションで装備可能)
 スポーツ・ライダーやツーリング・ライダー向けの広範囲な特別装備品

モデル別の違いと識別できる特徴
F 800 S               F 800 ST
低いウインドスクリーン        高目のウインドスクリーン
フェアリングの上部セクションが短い サイド・パネル付フェアリング
低い位置に装着されたハンドルバー 高いチューブ状のハンドルバー
リアのグラブ・バー        ラゲッジ・ラック
スピード・ホィール・デザイン ダイナミック・ホィール・デザイン
ブラック塗装のフロントフェンダー        ボディ同色のフロントフェンダー

独自の質量バランス機構を採用したコンパクトなパラレル・ツイン
F 800シリーズの2つのモデルは、全く新たに開発された並列2気筒パワー・ユニットを搭載し、このクラスでは実にユニークな特徴を備えています。「パラレル・ツイン」
の言葉から連想されるように、クランクシャフトには通常のオフセット式ユニットの代わりにストレート・ストローク・ジャーナルを備えています。

エンジンが横置きで搭載されているため、クランクシャフトの各回転の作動サイクルにおいて等間隔の点火時期が設定されています。これはBMWの有名なボクサー・エンジンに
意図的に似せたサウンドを発するだけでなく、特に等間隔の点火順序によって可能になった大トルクと素晴らしい滑らかな作動を実現し、バランスの取れた充填サイクルのための
最適なコンディションを可能にしています。

慣性質量については、今までの量産モーターサイクルでは見られなかった、補正機構コンセプトによりバランスを取っています。一般に見られるカウンター・ウエイト付きシャフ
トの代わりに、クランクシャフト中央の正確に位置を設定したカウンター・ウエイトの付いたピボット・システムが、慣性質量による振動を打ち消す役目を果たします。クランク
シャフトの偏心重量は180度の角度でリフト・ジャーナルに配置されており、ほとんど水平に配置されたバランス・アームと相互に作用するバランス・コンロッドとが連携して
います。こうした運動力学的配置により、バランス・コンロッドがエンジンの2つのコンロッドに対して逆方向に上下運動を行います。比較的長いスイング・アームによってガイ
ドされ、コンロッドの頭部はほぼ直線的に動きます(より正確に言うと、コンロッドの小端部はわずかに曲線的な軌道を描きます)。

コンロッド頭部とスイング・アームへの質量を適切に配分することで、スイング動作によって発生する慣性質量が、クランクシャフトのあらゆる角度でクランク・ドライブ(ピス
トンとコンロッドによって分配される)から発生する慣性質量による振動を打ち消すように作用します。これによりほぼ完全に一次慣性質量と二次慣性質量を打ち消し、エンジン
の振動を最小限に抑えながら素晴らしい滑らかな作動を可能にしています。この考え抜かれた構造の大きな利点は、もちろん一般的な作動音やチェーンの音がしない、騒音レベル
の低さです。

オイルラインについても、一般的な基準からはかけ離れたいくつもの精巧かつ考え抜かれた特徴を誇っています。オイルの飛翔による損失を防止するため、オイル回路は別体式の
エンジン・オイル・タンクを必要としない、セミ・ドライ・サンプ方式を採用しています。メイン・ベアリングからの潤滑油は、実際のオイル・サンプから、密封された均等化シ
ステムで構成されるシャフトに集められます。このエリアに集められたオイルは常時オイル・ポンプから送出され、ギアボックス・ハウジングに運ばれてから、圧力のかからない
状態でクランクケースの開口部に流れ、オイル・サンプに入ります。その後オイル・プレッシャー・ポンプがこのリザーバーから潤滑油回路にオイルを送り込みます。

最新のKモデルと同じハイテク・シリンダー・ヘッド
一体型のシリンダーを持ち、水平に分割されたエンジン・ブロックは30度前傾しており、最新のシリンダー・ヘッドは文字通り上部に「王冠」のようにかぶせられています。

新世代のKシリーズに搭載される直列4気筒エンジン同様、このパラレル・ツイン・パワー・ユニットもタイミング・チェーン駆動式の2本のオーバーヘッド・カムシャフトを持
ち、フォロア・アームを介して1シリンダーにつき4つのバルブを操作しています。バルブ・リフト量が大きいにもかかわらず、フォロア・アームを採用したことによってバル
ブ・トレインの磨耗は最小限に抑えられ、摩擦損失も低く抑えられて、高エンジン回転数でも駆動システム全体の頑強さを維持します。バルブ・クリアランスの点検は、最短でも
20,000 km走行後に行えばよいのです。

BMWに典型的なもうひとつの特徴として、燃料供給システムにはBMS-Kエンジン制御システムと直径46 mmの2つのスロットル・バタフライを備えたインテーク・マニ
フォールド・インジェクションを採用しています。燃料噴射量は、エンジン制御システムによって、単に噴射時期だけでなくライダーが必要とするパワーとパフォーマンスに応じ
て燃料ポンプで増幅される圧力に従って決定されます。

燃料供給システム全体は、余分な燃料を循環させることなく作動し、エンジンに実際に必要な量のみが供給されます。消費電力を節約するため、この燃料供給システムは最適な空
燃比を形成するために広範囲にわたって燃圧を変えることができます。

BMW Motorradによって開発されたこのユニークな原理は、もちろん特許を取得しています。噴射される燃料の量を正確に測定するため、このシステムはエンジン負
荷、エンジン回転数、エンジン温度などの一般的なパラメータだけでなく、排気ガス内の残留酸素量も測定しています。このために必要な情報は、標準搭載されている3元触媒コ
ンバーターの効率的な作動に不可欠なエグゾースト・マニフォールドのジョイント部に設置されたO2センサーから受け取ります。
正確な空燃比による混合気形成に必要な吸気は、冷気が流れ込み易い適切な位置に取り付けられたインテーク・ファネルを通ってインテーク・エア・サイレンサーに導入されま
す。このエンジン上部の絶好の場所への配置、豊かなトルク発生のためのエア・ファネルの大型化は、燃料タンクをシート下に移動したことによって可能になりました。

重量が最適化されたエグゾースト・システムは全体がステンレス製で、マニフォールドの端部で2つに分割されます。二次エア・システムにより排気ガスに空気を取り込み、ク
ローズドループ制御式触媒コンバーターとの組み合わせにより、この後燃焼プロセスで有害物質の排出を最小限に抑えます。

高エンジン回転数で大トルク
最新の燃料噴射システムによりパラレル・ツインをライダーの命令に完璧に反応させるだけでなく、振動質量を最小限に減らすことで俊敏なパワーとパフォーマンスを実現させて
います。ボア対ストローク比が82.0:75.6 mmと、決してショート・ストロークとはいえない4バルブ・パワーユニットは、低エンジン回転時からすばやく回転数を高
め、わずか5,000 rpmで最大トルクの90%を発生します。5,000~8,000 rpmの回転域では独自のサウンドを発しながら、非常に滑らかでダイナミックな
エンジン出力特性を維持します。実際、排気量798ccの2気筒エンジンの最高出力62.5 kW(85 ps)/ 8,000 rpm、最大トルク86
Nm/5,800 rpmという公称値だけでは、この新型モーターサイクルの路上における圧倒的なパフォーマンスについての全てを語りつくすことはできません。

クロスレシオに設定された6速ギアボックスの採用により、BMW F 800 Sは時速100キロに達するまでがわずか3.5秒、最高速度は実に時速200 キロ以上で
す。その上さらに驚かされるのは、F800シリーズの加速だけでなく全速度域での素晴しい牽引力です。これは簡単に言えば、BMWの開発エンジニアがエンジン高回転域での
極限の性能よりもとりわけ中回転域における滑らかな走行性能と優れたパワーに重点を置いた結果です。これこそが、BMWの新型モーターサイクルが全ての速度域において俊敏
な加速と力強さを発揮する理由であり、F 800 Sのライダーにとってはアクセル操作に対する瞬時の反応にワクワクさせることに結びついているのです。そして同時に、
ツーリング指向のライダーにとっては、頻繁なギアシフトを繰り返すことなく、STのハイトルク・ツインを楽しむことができるのです。

BMWの新しいパラレル・ツインは、ダイナミックな加速と俊敏性との間のギャップを埋めただけでなく、素晴しいパフォーマンスを得るために燃費を犠牲にする必要がないとい
うことも証明しました。例えば田舎道でも、ライダーはハイオク・ガソリンを使用して100 km 走行あたり5.0リッターをはるかに下回る優れた燃料消費量を達成するこ
とができます。また、最高出力が1.5 kW(2 ps)ほど低下し、燃費もわずかに悪化しますが、要望に応じてF800シリーズをレギュラー・ガソリン仕様にコンバー
ジョンすることも可能です。この変更は、エンジン制御ソフトウェアの制御マップを変更することによって可能になります。

言うまでもないことですが、コントロール・ユニットのこの特別プログラムは、いつでも元の状態に戻すことができます。

顧客の要望を採り入れるBMW Motorradの柔軟な方針のもうひとつの例として、運転免許を取りたての初心者(国によっては、初心者ライダーは特定の出力以上のモー
ターサイクルに乗ることができません)向けに、最高出力を25 kW(34 ps)/7,000 rpmに、最大トルクを55 Nm/3,500 rpmに抑えた低出力モ
デルを設定することもできます。

無償オプションとなるこのエンジン出力低減処置は、量産モデルにあらかじめ装備されている2番目のスロットル・バタフライ・アジャスターによってスロットル・バタフライの
開度を制限することで可能です。

新たなエンジン・コンセプトによる技術的特徴として、シリンダー・ヘッドの右にある、カムシャフトに設けられたギアセットで駆動されるウォーター・ポンプがあります。サー
モスタットが一体化され、ラジエターの裏という便利な位置に取り付けられたウォーター・ポンプは、短い冷却水ホースを必要とするだけであり、非常にコンパクトで整頓された
エンジンのために一役買っています。

手が届き易いオイル・フィルター上部にあるオイル・クーラーは、特に冷間始動時にパワー・ユニットをすばやく暖機し、同時にエンジン・オイルの温度を適切なレベルに保つこ
とを可能にしています。

リア・ホィールはハイテク仕様のベルト駆動
BMW F 650 CSに装備された最新のベルト・ドライブはメインテナンスの容易さと信頼性の高さを見事に証明して見せ、この新型モデルに引き継がれました。より高い
負荷のために、F800シリーズは特別に上部をカバーで保護されたより幅の広いベルトを使用しています。もちろんF 650 CSと同様F800シリーズも、ベルトを張り
直したり特別なメインテナンスを行ったりする必要はありません。唯一必要なことは、1,000km走行後にベルトを点検し、10,000kmごとの定期点検でベルトの張り
を確認するだけです。潤滑油は必要ありません。

ベルトを張りなおす必要がある場合には、偏心構造のリア・アクスル・スイング・アーム・マウントを使って作業全体を簡単に、素早く行えます。

ベルト・ドライブは滑らかで柔らかな負荷変動をもたらし、ピーク負荷を打ち消し、たとえ長い距離を走行した後でも滑らかで静粛な走りを維持します。
リア・ベルト・ギアはつや消し処理されたステンレス・スチール・プレート製で、システムに一体化された4つの部品から成るダンパーと相互に作用して、負荷変動による不快な
アクションを効果的に取り除き、最も低いエンジン回転域においても荒さのないスムーズな加速を可能にします。

実証テストにより、F 800のセカンダリ・ドライブ・システムは走行40,000 kmを超えてもスムーズに問題なく作動することがわかっています。これはBMW F
800シリーズの維持費用低減に貢献しています。

エンジンおよびランニング・ギア:完璧な組み合わせ
コンパクトな構成のエンジンとサスペンションを特徴とするF 800シリーズは、その素性のよさを生かし、操縦性や直進安定性において新たな基準を確立しています。極めて
強固でねじれ剛性の高い、押し出し成型溶接されたアルミ製フレームと鋳造コンポーネントが、ステアリング・ヘッドからスイング・アーム上のピボット・ポイントの間のダイレ
クトな接続を確保しています。

重量と寸法を最適化するため、エンジンは負荷分散エレメントとしてサスペンション構造に一体化されており、後部が強化されたエンジン・ハウジングは合計4つのニードル・ベ
アリング付きスイング・アーム・マウントの機能を果たしています。エンジン・ブロックはスイング・アーム・マウントのすぐ上でフレームにしっかりとねじ止めされ、スチー
ル・チューブ
製リア・フレーム・セクションはさらに4本のボルトで留められています。燃料タンクはシート下に配置され、これも低重心に貢献しています。

極めて頑丈なテレスコピック・フォークを持つコンパクト・スポーツ、スポーツ・ツアラー
F800シリーズは、いずれも十分な強度を持つインナー・チューブとアウター・チューブを組み合わせた、丈夫なテレスコピック・フォーク式フロント・サスペンションを装備
しています。外径が43 mmもあるこのアウター・チューブは、テレスコピック・フォークの高い曲げ剛性に貢献しています。

頑丈なホィール・ガイダンスおよびサスペンション・システムは、マシンの方向安定性に有利に働くだけでなく、ステアリングの挙動を最適化するにも役立ちます。F 800
SとF 800 STはステアリングの切れ角全範囲にわたって滑らかに作動し、常にライダーにフロント・ホィールの感触とその挙動をダイレクトに伝えます。また、優れたダ
ンパー設定および140 mmのホィール・ストロークによって、優れた走行快適性と、良好で安心感がある走りを約束します。ステアリング・ダンパーは標準装備されていま
す。

バッテリーをハンドルバー中心点のすぐ後に配置することで適切な重量配分も実現、モーターサイクルの運動性能を強化し、そのうえ重量を最小限に抑えることにも役立っていま
す。燃料満タン時(空車重量)で、Sモデルはわずか204 kg、燃料タンクが空の状態では実に182 kgしかありません。STは、それぞれ約5 kg重くなっていま
す。

リア・スプリング・ストラットには、伸び側が調整可能なダンパーとスプリングのプリロードを簡単に調整できる調整ダイアルが付いています。モーターサイクルに同梱されてい
る専用のスパナを使えば、容易にダイアルを操作することができ、ライダーはさまざまな積載状況に応じてスプリング・プリロードをすばやく簡単に調整できます。魅力的なデザ
インのアルミ製シングル・スイング・アーム上のピボットに直接固定されたスプリング・ストラットは、スプリング・ストロークが140 mmあり、走行快適性とスポーツ・
セッティングの両方に貢献しています。

大柄でボリュームのあるハイテク・シングル・スイング・アームは存在感にあふれ、マシンの魅力的で躍動感あふれる外観に一役買っているだけでなく、そのコンパクトさにより
設計上の実利も提供しています。例えば、この設計の恩恵を受けて、サイレンサーは左側にほぼモーターサイクルのボディに沿って配置され、スレンダーなシルエットを強調して
います。加えて、優れた剛性が達成されましたし、組み立て時や整備時に作業が容易になるという利点も生まれました。

新Kシリーズから受け継がれたホィール・デザイン
F 800 SにはK 1200 Sと同じデザインのホィールを採用している一方、F 800 STにはR 1200 ST と同じデザインのホィールを装備しています。
全て鋳造アルミ・ホィールで、タイヤ空気圧を簡単に調整できるようエア・バルブは側面に向けて取り付けられています。

3.5インチ幅のフロント・ホィールには120 / 70-ZR17タイヤを、5.5インチ幅のリア・ホィールには180 / 55-ZR17タイヤを装着しており(Sお
よびSTモデル共)、いずれもセグメントの平均を超えるサイズです。

妥協を排したブレーキ・システム
フロント・ホィールに直径320 mmのダブル・ディスクと4ピストン・ブレーキ・キャリパーは、より大型のモーターサイクルに装備されると同等のブレーキ・システムで
す。ブレーキ・キャリパーには焼結金属製ブレーキ・パッドが装着され、メイン・ブレーキ・シリンダーには調節可能なハンド・レバーと別体式ブレーキ液リザーバーが付いてい
ます。

リア・ブレーキ・システムには、シングル・ピストン・フローティング・キャリパーと直径265 mmのシングル・ディスクを組み合わせています。両方のモデルに標準で装備
されるスチール製のブレーキ・ラインによりライダーはスムーズかつ安全にコントロールでき、操作が楽に感じられる安定したプレッシャー・ポイントを確保しています。

軽量化された最新の2チャンネルABS
F800シリーズには、工場オプションによりボッシュ製2チャンネルABSを装着可能です。このモーターサイクルの重量は軽いため、ABSにはブレーキ倍力装置やインテグ
ラル機能が必要ありません。

BMW Motorradの新世代ABSは、コンパクトなサイズや軽量さだけでなく、操作性やブレーキ性能が従来より更に改良されています。新旧を比較してみると、プレッ
シャー・モジュレーターのサイズと重量がほぼ半分になったおかげで、ABSユニットの総重量はわずか1.5 kgとなっています。

新しいプレッシャー・モジュレーターは、線形制御特性を持つインテーク・バルブを介してABSを積極的に操作することにより最適なブレーキ・プレッシャーを発生させ、非常
に素早い反応と繊細な操作を実現しています。無段階可変断面を持つ新しいバルブにより、ABS作動をライダーに伝える振動は、ブレーキ・レバーにパルスのように感じられる
程度の繊細なレベルになりました。

BMWの新しいモーターサイクル向けABSは診断範囲が拡張された診断機能を持ち、ホィール・スピード・センサーは自動的にセンサー・ホィールとのクリアランスもモニター
しており、システムのあらゆる状況における高い安全性に貢献しています。

CANバス技術を採用した電気系統とイモビライザーが最先端技術を証明
新Fシリーズの電気系統には、最先端のCANバス・コンセプトが採用されています。つまり、BMWの新KシリーズやRシリーズと同様、シングル・ワイヤ・システム
(SWS)の採用によって、配線網の数や複雑さが解消され、全てのコントロール・ユニットをネットワーク化することによって、包括的な診断プロセスが容易となっているので
す。さらなる利点として、この新しい技術は通常の溶断式フューズを使用する必要がなく、故障の際はシステムが問題のあるコンポーネントを自動的に遮断するようになっていま
す。

BMWの他シリーズ同様、電子式イモビライザーも標準装備されています。このためエンジンの始動には「単に」正しい鍵山を持つキーが必要なだけでなく、キーに内蔵された
チップからハンドル・ロック/イグニッション・ロックに組み込まれたリング・アンテナに正しいコードを発信します。これが行われて初めてエンジン・コントロール・ユニット
が正しいライダーによるエンジン始動を可能にし、発進させることができます。この技術はモーターサイクルを盗難から守るための現在最も安全で信頼のおける方法です。

電気系のコネクターは防水式で、損傷や障害を受ける心配がありません。また14アンペアのバッテリーと400ワットのオルタネーターにより、常に安定した電源を供給しま
す。

上下にアナログ式メーターが配置されたメーター・パネルは、一目でライダーが全ての情報を得られるように配慮されています。また、さらに情報を活用したいと考える熱狂的な
ライダー用には、オプションとしてストップウォッチ機能付きのオンボード・コンピューターを選ぶこともできます(第2章の「装備」を参照)。

ガラスのようにクリアなプラスチック製レンズ付きの非対称デュアル・ヘッドライトは、新しいF800シリーズにBMWの最新鋭モーターサイクル世代とも共通のルックスを与
えています。2つのH7ヘッドライト・バルブが常に良好な視界を確保し、モーターサイクル自体も他の車両から見やすくなります。ハイビームに切り換えた場合もロービームは
点灯したままで、ライダーの妨げとなる急激な光量の減少を防止しています。

躍動感あふれる外観のための新しいデザイン・コンセプト
このニュー・モデルの導入にあたって、BMWは現行の4気筒モデルの外観を明確に連想させる、新しくて若いデザイン・コンセプトを採用しました。それらのデザインだけで
も、BMW独特の要素である最も際立った技術的特徴が前面に押し出されています。例えば、美しいデザインのアルミ製フレームは、一方向のラインでハンドルバー・ヘッドから
スイング・アーム・マウントまでを結び、右側の芸術的なシングル・スイング・アームとともに調和の取れた繊細なユニットを構成しています。

高さを抑えたポリカーボネート製ウインドスクリーンとABS樹脂製の短いアッパー・フェアリングによって、F 800 Sに特別スポーティな印象をもたらす一方、ハンドル
バーもウインドスクリーンも高さのあるF 800 STは、明確にツーリングの快適性を強調しています。

いずれのF800シリーズも、卓越した空力性能を発揮し、スレンダーな姿にもかかわらず、優れた風防性能を提供します。特にSTモデルでは、ウインドスクリーンの側面の形
状の工夫により、ライダー周り空気流れを整流し、より快適性を高めています。またSTに標準装備されるラゲッジ・ブリッジは、見た目は控えめながら、ラゲッジ・ラックやサ
ポート・システムを装着するなどのあらゆる要望に応える強度を備えています。

Sモデルでは、完全に「ネイキッド(むき出し)」のエンジンが一目で見る人の目にとまり、モーターサイクルを上から見た場合には、フロントフェンダーからリア・エンドにか
けて、つや消しブラックのセンター・ストライプがモーターサイクルを左右に分離する効果を出しています。こうした処理もF 800 Sにスポーティな印象を加味し、モー
ターサイクル全体をよりピュアなイメージに演出しています。

他のBMWモデルにはない専用カラーも、このニュー・モデルの特別なキャラクターにアクセントを加えています。F 800 Sにはノンメタリックのサンセットまたはフレー
ム・レッドが、またエレガントなF800 STにはブルー・メタリックまたはグラファイト・メタリックが用意されています。

こうした魅力的なルックスとは別に、両モデルともに幅広い実用的な機能を提供します。例えば、サイド・ミラーには特別な静止位置があり、ミラーを折りたたんだ後でもライ
ダーはすぐに自分のセッティングに戻すことができます。複数のパートからなるフェアリングは、点検・整備のために素早く脱着できるだけでなく、容量16リッターの燃料タン
クにつながっているフューエル・キャップ(ロック付き)は、ボディ右側の手の届き易い位置にあります。これにより燃料補給時にタンクバッグを外す必要がないため、ツーリン
グ・ライダーにとって好都合でしょう。

BMWの特徴である快適なシート
F800シリーズにおいても、BMWならではのすわり心地の良いシートを提供しています。標準で提供されるライダー・シートの高さは、820 mmです。なお、小柄なライ
ダー向けに、高さ790 mmのロー・タイプ・シートを工場オプションで装備することもできます。

この足つき性の良さの理由の1つは、シート前側が特に細くなっているためであり、ハイ・タイプのシートでさえステップアーチ・レングスが1,810 mmと短くなっている
ことです。ロー・タイプのシートを装着した場合、ステップアーチ・レングスはさらに短い1,750 mmになります。

これらの数値は両モデルとも同じで、フットレスト位置も同じであるためライダーの太ももやふくらはぎの部分はリラックスした角度を維持できます。当然のことながら、パッセ
ンジャーもライダーと同じ最高のすわり心地を得ることができます。

F 800 Sのハンドルバーは、スポーティでより積極的なライダーにとって、STモデルよりもさらに前傾した姿勢をとることができます。またSモデルのハンドルバーは振
動を防止するためにそれぞれが独立してマウントされていますが、ステアリングの正確性を少しも犠牲にすることはありません。手の大きさに合わせて調整できるブレーキ・レ
バーやクラッチ・レバーも用意されており、ライダーのために最適にデザインされたコックピットを締めくくっています。

オプション装備品と特別装備品
BMW Motorradでは、はこだわりのあるライダーのために、最初から自分のモーターサイクルにベルリン工場でオプション装備を装着してカスタマイズできるようにし
ただけでなく、納車後にもディーラーまたはお客様自身が特別装備品を後付けすることができます。スポーツ・マシンF 800 Sとスポーツ・ツアラーF 800 ST用に
利用できる幅広いオプション装備品(工場オプション)や特別装備(ディーラー・オプション)はマシンに合わせて丁寧に仕上げられており、お客様は、考え抜かれ、モーターサイク
ルの特性に完璧にマッチした装備品の恩恵を受けることができます。

工場オプション
• BMW Motorrad製ABS(2チャンネル・システム)
• グリップ・ヒーター*
• ロー・タイプ・ライダー・シート*(シート高790 mm)
• 盗難警報装置
• オンボード・コンピューター
• 出力低減仕様(25 kW [34 ps])
• ホワイト・ターン・インディケーター*
• レギュラー・ガソリン(RON 91)仕様のエンジン
• メイン・スタンド*(STのみ)
• ラゲッジ・ケース*(STのみ)
*マークの付いた製品は、BMW Motorrad正規ディーラーで特別装備品としてもご注文いただけます。

さまざまな情報を網羅するオンボード・コンピューター
メーター・パネルに組み込まれたオンボード・コンピューターは、見やすいディスプレイによってさまざまな情報を提供します。燃料残量、使用中のギア、冷却水温度、平均速
度、平均燃費、瞬間燃費、燃料タンク内に残った燃料で走行可能な航続距離、外気温度、ストップウォッチ機能などの情報を利用できます。

情報を選択する場合には、ライダーはハンドルバー左側のスイッチを押して項目を選択します。このスイッチは、さらにストップウォッチ機能の操作にも利用します。

もうひとつ追加の装備として(必要に応じて解除が可能)、レブ・リミット警告機能があります。これは発光ダイオード(LED)を使用した警告灯で、制限回転数に近づくと、
エンジン回転数の上限付近の赤くマーキングされた部分が点灯して警告を発します。

セキュリティ強化のための盗難警報装置
盗難警報装置は、ひとたび作動させると、停車中のモーターサイクルが少しでも移動されたりした場合、はっきりとわかる視覚的警告と大きな警告音を発します。このモーターサ
イクルを非常に効果的に守る電子警告信号は、リモート・コントロールまたはキーを使って解除できます。

特別装備品(ディーラー・オプション)
• グリップ・ヒーター*
• ラゲッジ・ラック
• スポーツ・ケース(取付けキット)
• ケース・サポート(取付けキット、Sモデルの場合は
  ラゲッジ・ブリッジとのセットでのみ装着可)
• 容量可変式スポーツ・ケース
• トップケース、小
• タンク・リュックサック
• タンクバッグ
• メイン・スタンド*(Sモデル用は取付けキット含む)
• アダプター付きパドック・スタンド
• サービス・ツールキット
• ロー・タイプ・シート
• ホワイト・ターン・インディケーター*
• ヘルメット・ホルダー用ケーブル
• BMW Motorrad製ナビゲーターII
• ナビゲーター・ホルダー、ケーブルおよび取付けキット
• パッセンジャー・シート・カバー
• ハイ/ロー・ウインドスクリーン
*マークの付いた製品は、工場オプションでも装着できます。

スポーツ・ケースとトップ・ケースでたっぷりした収納スペース
K 1200 S用の17から25リットルまで容量を変更できるスポーツ・ケースが、F800にあわせて仕様変更され専用ケースとして設定されました。控えめながらも堅固
なキャリア・システムにより、ダイナミックでスポーティな外観のケースをすばやく脱着できます。スポーツ・ケースに標準装備されているインナー・バッグには防水性がありま
す。

より大きな積載容量を得るために、こだわりのあるライダーは例えば自分のヘルメットを入れるのに十分なサイズの、容量28リットルのトップケースを選ぶこともできます。

パドック・スタンドとパッセンジャー・シート・カバー
スポーツ・ライダーならば、タイヤ交換を素早く行うためのパドック・スタンドやパッセンジャー・シート・カバーに興味があるでしょう。パッセンジャー・シート・カバーをリ
アに取り付けると、モーターサイクル全体によりスポーティなアクセントが付加されます。

後付けメイン・スタンド
標準装備のサイド・スタンドに加えて、F 800 SとF 800 STにはメイン・スタンドを装着することもできます。

小物を収納するためのタンク・リュックサックとタンクバッグ
タンク・リュックサックとタンクバッグは、このマシンのタンクの実用的な配置により給油時でも外す必要がないのでとても便利です。

容量12リットルで、防水性があり、ロック付きのインナー・バッグが付属するタンクバッグは、BMW MotorradナビゲーターIIにぴったりです。より大きなタン
ク・リュックサックは容量を14リットル~26リットルまで変更でき、防水インナー・バッグが付属しているので雨天の走行でもレイン・カバーを使う必要がありません。その
他、地図用の防水ポケット、メインポケットの中から手が届く、小物用の小さなポケットが付いています。

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