PressClub Japan · 記事.
第92回BMW AG年次株主総会 BMW AG取締役会会長 Dr. ノルベルト・ライトホーファー
Wed May 16 13:01:00 CEST 2012 スピーチ
BMW AG取締役会会長Dr. ノルベルト・ライトホーファーのスピーチ原稿をご覧いただけます。
プレス担当者.
Masahiko Maeda
BMW グループ
電話番号: +81-3-6259-8016
Fax: +81-3-6259-8009
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著者.
Masahiko Maeda
BMW グループ
皆様、
モビリティこそが、すべての原動力です。それは、当社においても同様です。私たちは、人々の移動に貢献するだけでなく、心を動かすこともできるのです。モビリティは、今後も人間の基本的欲求であり続けます。
- 成熟した市場が展開されている西半球では、モビリティが欠かせません。
- そして、成長地域の人々は、経済的、社会的、個人的に、インディビデュアル・モビリティのチャンスを生かそうとしています。
モビリティとは、すなわち進化です。それは、人々に一定の自由と個性を与え、成長、雇用、繁栄につながります。このモビリティこそが、96年間にわたって私たちBMWの成長の推進力となってきました。
- モビリティに貢献する私たちの製品には、自動車、二輪車、ファイナンシャル・サービス、モビリティ・サービスがあります。
- BMWグループのビジネス・モデルは、プレミアムです。
プレミアム品質という点では、BMWグループは間違いなくトップの座にあります。昨年の自動車総販売台数は史上最高の167万台で、競合他社を引き離しました。従業員数は、90カ国以上で10万人を超えました。その全員が、モビリティに並々ならぬ情熱を注いでいます。成功のカギを握っているのは彼らです。従業員たちは、BMWグループの製品、会社と自分を重ね合わせて一体感を持っています。
お客様は、それを敏感に感じ取ります。そしてそれをはっきりと認識した上で、BMWグループの自動車や二輪車を購入しています。当社は、常に競争相手の一歩先を進み続けたいと思っています。その熱意が、私たちを駆り立てています。BMWグループは、株主である皆様のニーズやご希望に応えたいと考えています。皆様の投資には収益性が確保されなければならないのです。
私たちは、皆様と同様に長期的に考え、計画を立てています。
- 経済危機の折にも、皆様は私たちを支えてくださいました。
- これからは、モビリティの新時代に突き進む私たちとともに歩んでいただきたいと思います。
皆様の誠意に心より感謝申し上げます。
今日、モビリティにはさまざまな側面があり、多様な要求が課されています。もはや自動車は私たちの日常生活と切り離すことはできません。それにより、モビリティには新たな難題が突き付けられています。ローマクラブの最新の予測を思い出してみてください。世界はこれからどのように発展していくでしょうか。今後の発展は私たち自身が責任を負っています。また、どのようにしたら、増え続ける人口にとって世界が生きる価値を持ち続けられるでしょうか。これらはすべて、私たちBMWグループが自らに投げかけた問いです。そして、そのすべてが当社の事業戦略Number ONE戦略に集約されるのです。
変化を望む者、他者を突き動かそうとする者は、考え方や行動において自分自身がフレキシブルでなければなりません。そのための土台となるのが、責任、信頼、起業家的独自性というBMWグループの文化です。
この強固な基礎の上で、
- 私たちは現在の課題に対する適切な答えを探し出し、
- 未来のモビリティを作り上げ、
- BMWグループの長期的な成功を確実なものとします。
それには、私たちの持てる限りの革新的能力が必要となります。
ステージ前方にある、この2台の車両をご覧ください。
ニューBMW 6シリーズ グラン クーペとBMW i8 Concept(アイ・エイト・コンセプト)です。
これが、進化と革新です。これぞ、まさにBMWです。
オリンピアホールにご来場の皆様、本日はご出席いただきましてありがとうございます。取締役会メンバーを代表してご挨拶申し上げます。また、インターネットでご覧いただいている投資家や視聴者の皆様にも同じくお礼を申し上げます。第92回BMW AG年次株主総会にようこそお越しくださいました。
株主および株主代表者の皆様、
従業員の皆様、
ご来賓の皆様、
本日は、次の3つの要点についてお話したいと思います。
- 2011年の事業報告
- 2012年の目標
- 未来のニーズに対応できる企業にするには
第1の要点についてお話します。
1年前、私はこの同じ場所で皆様に、2011年はBMWグループにとってチャンスの年になるとお伝えしました。今や、私たちがそのチャンスを逃さなかったことは明白です。2011年は、BMWグループが創業して以来、最高の年になりました。
- 販売台数、売上高、収益は史上最高を記録し、
- 2012年の収益目標を計画より1年早く達成しました。
次に示すのは、主要な財務指標です。
- グループ売上高: 688億ユーロ
- 税引前利益: 73億ユーロ以上
- 純利益: 49億ユーロ
- 自動車部門のEBIT(金利払前税引前利益)率: 11.8%
- 二輪車部門の税引前利益: 4,100万ユーロ
- ファイナンシャル・サービス部門は約18億ユーロに達し、グループの税引前利益に貢献しました。
この業績を収めることができたのは、ひとえにお客様のおかげです。2011年ほど多くの人々にBMW、MINI、ロールス・ロイス、またはBMW二輪車をお選びただいたことはありません。
私たちのすべてのブランドで、新記録が達成されました。
- BMW: 138万台
- MINI: 28万5,000台以上
- ロールス・ロイス: 3,538台。これにより、1978年に達成した最高記録を塗り替えることができました。ロールス・ロイスの107年の歴史において最高の記録を新たに樹立できたのです。
- 二輪車部門では、BMWとハスクバーナ、両ブランドの二輪車の販売台数が11万3,500台を超え、同じく史上最高となりました。BMW二輪車は、15カ国でマーケット・リーダーの地位を獲得しました。二輪車市場はとりわけ激戦です。約150万台が販売された2007年以降、二輪車の市場規模はほぼ半減しました。しかし、この潮流に逆らい、私たちは数年の間に市場占有率を約2倍にすることに成功しました。BMWは、世界中の二輪車市場で勝者となっています。
2011年に一致団結して取り組んだ成果が、これらすべての数字に表れています。これはまた、2007年にNumber ONE 戦略において私たちが下した決断の結果でもあります。
私たちは、長期的に考えています。そして、約束したことは守ります。
このために、世界中で10万306人の従業員がベストを尽くしました。2011年の成功は、彼らの尽力によるものです。ドイツ拠点の該当する従業員は全員、この2011年の成果に対して利益分配賞与を受け取る予定です。支給額は史上最高となります。給与グループERA 5の熟練作業員の場合、7,650ユーロに上る計算です。それにより、利益分配賞与は前年と比べて約56%のアップになります。
BMWグループでは成果は報われます。これは当社の文化の一部です。そして、これは従業員のモチベーション・アップにも寄与します。
私は、株主である皆様の代弁者としても、BMWグループの全従業員に次の言葉を贈りたいと思います。「2011年の成果をもたらした皆さんの献身的な努力に心より感謝します」。
皆様、
当然のことながら、プラスの営業実績は当社の株主である皆様にとっても利益になります。取締役会と監査役会は、BMW AGの2011年の利益剰余金について配当による利益分配を行うことを提案させていただきます。つまり、普通株1株当たり2.30ユーロ、優先株1株当たり2.32ユーロとなります。これは、BMWグループの歴史始まって以来の高い配当率です。
配当額は15億ユーロに達します。2010年の金額と比べて、75%以上の増加です。
2011年の変動的な市場環境において、BMWグループの普通株は、
- 安定した、魅力的な投資対象であることが実証されました。
- ドイツ株価指数DAXよりも良好に推移しました。
- 2012年初頭以降、株価は2011年の終値に対して約28%上昇しました。
- 2012年3月16日には、これまでの最高値である73.95ユーロに達しました。
過去10年間を振り返って見ると、BMWグループの普通株価は76%上昇しました。配当を考慮しなければ、これは約6%の年間利益に相当します。同時期のDAXの年間利益は2%でした。
これらはすべて、BMWグループが未来志向の活動を展開していることを示しています。とはいえ、私たちにとって2011年の成功は、未来へ進む道のりの一歩にすぎません。
そこで、第2の要点である「2012年の目標」についてお話します。
私たちは、会社のあらゆる分野で常に野心的な目標を設定しています。
2012年には、以下の新たな記録を達成したいと考えています。
- グループ全体の売上高
- 当社が関わる3つの自動車市場における売上高
- グループ税引前利益
- 自動車部門のEBIT率は、8~10%を達成したいと思います。
目標達成のためには、経済の基礎的条件の安定性維持が前提となります。一部の国々の公的債務問題やユーロ危機は、依然として世界経済に対するリスク要因となっています。
しかし、私たちの目標はBMWグループの典型的な2つの特長を明示しています。それは、強さと自信です。これによって、私たちは市場を席巻したいと考えています。
まず、成熟した市場であるヨーロッパと米国についてお話しします。
ヨーロッパは当社にとって最大の販売市場です。
- ヨーロッパで、車両の半数以上を販売しています。
- ヨーロッパは、BMW、MINI、ロールス・ロイス、ハスクバーナという当社の全ブランドの本拠地です。
ただし、南ヨーロッパの一部の国では、新車登録台数が減少しています。経済に不安を感じている消費者が自動車の購入を控えているためです。例えばギリシャとスペインでは、2011年の販売台数は2007年を下回りました。当社も、この市場の厳しい状況に直面しています。
とはいえ、当社はヨーロッパと共に歩みます。私たちから見て、ヨーロッパのあり方として、単一通貨圏を有する統一されたヨーロッパに替わる選択肢はありません。
- 重要なのは、ヨーロッパにおいて私たちを結び付けているものが何かです。
- 教育、ノウハウ、新技術といった私たちの強みに投資すべきです。
- 当社は、節約と成長の間で妥当なバランスを取れる、先見の明のある政治を要求します。
ヨーロッパと同様に、私たちは長年にわたって米国でも製品を販売してきました。米国は、私たちの第2の故郷と言っても過言ではありません。現地での自社工場の建設を決断して以来、1991~2011年の間に米国市場での売上高は約6倍になりました。それだけではありません。スパータンバーグ工場で生産した車両の約70%は輸出されています。これは、非常に興味深いことです。なぜなら、これによってBMWは、NAFTA地域外への米国最大の自動車輸出者となるためです。これは、米国商務省によって2011年にあらためて確認されました。
米国メーカー製ではない、サウスカロライナ州生まれのBMW Xモデルが、NAFTA地域外へ輸出される中で最も需要の高い製品になりました。
米国市場は将来的にも大きな可能性を持ち続けると私たちは考えています。そのため、スパータンバーグ工場の生産能力を増強しています。
皆様、
私たちは、成長市場の「新世界」も開拓したいと思っています。
- ブラジル、ロシア、インド、韓国、トルコのBRIKT諸国では、BMWの売上高が過去10年間で11倍に増加しました。
- インドでは、自社組立工場の操業を開始して以来、この4年間で売上高が6倍以上に増えました。
- 中国では、売上高が過去6年間で10倍に伸びました。
インドや中国でも、市場に合わせて生産するというBMWグループの基本方針が有効であることが実証されました。
数週間後には、中国で新たに鉄西工場がオープンする予定です。これにより、瀋陽の生産能力は長期的に最大30万台にまで増強される計画です。
世界の新市場で成功するには、
- 異なるメンタリティーを理解する必要があります。
- 人々のニーズに応えなければなりません。
私たちは、中国の顧客に対して、特に彼らの嗜好に合うモデルを提供します。
ロング・ホイールベース仕様のニューBMW 3シリーズは、その一例です。
また、中国はメーカーに特別な要求を課しています。政府は電気自動車を奨励する政策を掲げ、高効率のディーゼル技術は一足飛びにしたい考えです。そのため、北京では電気自動車購入者にはナンバープレート抽選制度が免除されています。したがって、私たちは中国に電気自動車を供給したいと考えています。
中国と同様に、BRIKT諸国もダイナミックな成長の可能性を認識しています。
そのため、これらの国ではその市場に参入するための条件が付けられます。
たとえばブラジルでは、私たちが販売する自動車の売上税が、ある日を境に30%上昇しました。現地でのBMWグループの活動をどう発展させていくかについて、私たちはブラジル政府と話し合いを進めています。現在、工場拠点の建設計画は続行しています。
もっとも、条件が変われば、生産設備の採算性をあらためて評価し直さなければなりません。
私たちは拠点に関する決定を、判断力を駆使して慎重に下しています。
- 拠点の建設は、長期的に採算が取れなければなりません。
- 拠点の建設により、建設地の各国とメーカーである私たちの双方に有利な状況がもたらされなければなりません。
売上げを伸ばしたいのはもちろんですが、いかなる代価を払ってもというわけではありません。
皆様、
たとえば、アルゼンチンの例をご覧ください。アルゼンチンで自動車を販売するためには、外国メーカーは同等金額の物品を輸出しなければなりません。これについては、すでにマスコミ報道などでご存じのことと思います。想像に難くないと思いますが、米や革製品、もしくは赤ワインといった製品の輸出は、当社のコア・コンピテンシーではありません。
このような例を見ても、自動車産業が多くの国にとって非常に魅力的であるのは明らかです。それぞれの国民経済に対して大きな乗数効果をもたらし、工業の定着に強力な役割を果たすことができるからです。
ドイツとヨーロッパは、過去数十年間にわたってその恩恵にあずかってきました。今後は他の国々も、このサクセス・ストーリーに倣って成長と雇用を生み出したいと試みています。同時に、これらの国々の人々は、自身の富を示し、自分の車によって他の人との差別化を図りたいと考えています。
皆様、
BMWグループはグローバルな企業です。国際化は、私たちの成功の一部として挙げられます。
- 私たちは、自動車を140カ国で販売しています。
- 私たちは、14カ国、25拠点で生産しています。
2011年を振り返ると、
- BMWが成熟した市場で成長していることは明らかです。
- さらに、BRIKT市場でも成長しています。
また、ヨーロッパ、アジア、アメリカにおける私たちの市場地位は、10年前と比べてはるかにバランスが取れた分布となっています。2012年の第1四半期において、BMWグループの最大の個別市場であるドイツ、アメリカ、中国の規模はほぼ同じでした。このバランスの良さは、私たちに明確な競争優位性をもたらします。
しかし、私たちが本拠地であるドイツ市場をなおざりにすることはありません。BMWが世界で成功しているのは、ここドイツのバイエルン、ミュンヘンにしっかりと根ざしているからなのです。BMWグループの製品とプロセスの輸出を通じて、私たちは世界中にドイツの職人技や技術革新力を広めています。
それに対して、私たちは称賛を得ています。フォーチュン誌が選ぶ「最も称賛される企業」の最新ランキングで、BMWグループはドイツおよびヨーロッパの企業として唯一、世界のトップ20入りを果たしました。
私たちのブランドが持つ強さとカリスマ性は貴重な財産です。
「Made in Germany」はBMWグループの成功の礎であり続けます。
- 私たちは、ドイツで生産しています。ドイツは、私たちがバイエルン州、ベルリン、ザクセン州、チューリンゲン州にある8つの工場で行う生産を支える基盤です。
- 私たちは、ドイツに投資しています。2011年と2012年だけでも、20億ユーロ以上をドイツの拠点に投じています。
- ドイツでは、高水準の雇用を確保しています。車両の80%以上を外国に販売しているにもかかわらず、従業員の約70%が母国ドイツで働いています。
将来の成長市場はヨーロッパ外にあります。
それでも、私たちは、外国に職場を移転させるつもりはありません。 - BMWグループは、ドイツで採用活動を行っています。2011年には、約4,000人の新入社員が採用されましたが、その半数以上がドイツで勤務しています。2012年には、同数の新入社員が入社する見込みです。
- 私たちは、ドイツで教育を行っています。3,300人を超える若手従業員が当社で現在、技能訓練を受けています。2011年には、私たちはトレーニングを修了したすべての訓練生に対して採用を申し出ました。
これは、ドイツに対するBMWグループのコミットメントです。
私たちは、世界においてバイエルンとドイツを代表しています。
私はこれを、ドイツのための社会的責任と呼んでいます。
皆様、
BMWグループは成長しています。私たちは、さらに国際化を推進します。社内の構造にも、このプロセスをさらに適切な方法で反映させなければなりません。そのためには、以下に対する投資が必要です。
- BMWグループの従業員の人材教育
- マネージャーの専門的能力開発
8万7,000人の参加者が2011年に、BMWグループ・トレーニング・アカデミーの資格取得コースを修了しました。2011年の人材教育費は、過去7年間で最高の支出額に達しました。
将来に対応可能なプレミアムなビジネス・モデルには、能力が高く、極めてフレキシブルな組織が必要になります。これは、訓練生から取締役まで、すべての職務レベルに当てはまります。
こうしたことを背景に、私たちは2012年4月1日付けで取締役会を再編しました。
- 私たちは、当社のブランドを生かしてさらに成長し、ブランドの独自性を強化したいと思っています。BMW、MINI、ロールス・ロイスの顧客は、それぞれまったく異なります。こうしたすべてのニーズに対応するため、今後はBMWブランドのセールス&マーケティングをイアン・ロバートソン(Ian Robertson)が、MINIとロールス・ロイスの両ブランドはハラルド・クルーガー(Harald Krüger)が担当します。
- 開発担当および購買&サプライヤー・ネットワーク担当のトップ交代により、クラウス・ドレーガー(Klaus Draeger)とヘルベルト・ディース(Herbert Diess)の経験は、今後、バリュー・チェーンの別の場所で生かされることになります。
- 7月1日付けで、経験豊富なマネージャーであるカイナアンドリー(Caiña-Andree)を人事・福利厚生担当として当社に迎えます。私は、これによりBMWの役員会がさまざまな点で強化されていくと確信しています。
これまでの話でお分かりいただけたように、モビリティは、私たち自身にも当てはまることです。
そしてもちろん、BMWグループの製品にも当てはまります。
私たちは、BMWグループの車両を通じて次のことを顧客に約束します。
- 優れた材料と最高の品質
- 未来志向のデザイン
- 顧客と環境の両方に貢献する技術革新
私が個人的に、そして、私たち全員が特に誇りにしている製品があります。それは、ニューBMW 3シリーズです。
BMW 3シリーズはBMWブランドの名声を高めるために多大な貢献をしました。1975年以降、1,250万台のBMW 3シリーズが販売されました。BMW 3シリーズは世界のプレミアム・セグメントで最も成功したシリーズです。
- 1975年に、最初のBMW 3シリーズがミュンヘン工場で生産されました。
- 2011年10月14日、従業員5,000人と役員会、事業所委員会のメンバーがそのミュンヘン工場に集まり、6代目BMW 3シリーズのワールド・プレミアを祝いました。
早番シフトが終わると、通常であれば決して行わないことを実施しました。
ミュンヘン工場のラインを停止させたのです。約50カ国の従業員が、ニューBMW
3シリーズの開発、計画、生産に携わりました。全員で、この車両が工場内で最初に数メートル動き、それからドストラー通りを通ってBMWワールドまで移動するのを見送りました。私は、彼らの瞳に真の感激が宿っているのを見ました。ニューBMW 3シリーズのワールド・プレミアは、BMWグループの従業員にとって特別な鑑賞の機会となりました。
企業経営陣と従業員代表の密接な関係を築いているのは、BMWグループの伝統です。この団結力がBMWグループを強く、独自性あふれる会社にしています。
BMWグループが新しい拠点によって成長を続けていることからも、この団結力は今後も継続していくと言えるでしょう。
ニューBMW 3シリーズには、もうひとつ目新しいことがありました。私たちは、初めて1つのモデルを全市場に同時に送り出したのです。発売開始日の2月11日、ニューBMW 3シリーズ セダンがニュージーランドのオークランドからアラスカのアンカレッジに至るまで、世界中のBMWディーラーのショールームに登場しました。これは、ロジスティックスの功績でした。
BMW 3シリーズは顧客に、次のものを提供します。
- 「Sport」、「Modern」、「Luxury」の3つのラインによって、顧客はさらに車両をカスタマイズすることができます。
- 顧客はBMWブランドの新しい「CO2チャンピオン」を運転できます。BMW 320d Efficient Dynamics Editionでは、163PS時の燃料消費は100kmあたりわずか4.1リッター(EUテスト・モード)で、CO2の排出量は109g/kmです。
- 秋以降には、BMW ActiveHybrid 3が登場する予定です。これにより、BMWによるフル・ハイブリッドのためのインテリジェントな駆動コンセプトが、BMW 3シリーズ、BMW 5シリーズ、そして、間もなく、改良されたBMW 7シリーズで利用できるようになります。
ニューBMW 3シリーズは、当社がいかにEfficient Dynamicsを利用して内燃エンジンとハイブリッド・ドライブ・システムを最適化するかを示す好例となっています。これが、BMW Evolution(進化)です。
皆様、
Efficient Dynamicsはサクセス・ストーリーを実現しました。私たちは、Efficient Dynamics搭載車をすでに520万台、路上に送り出しました。その成果は上がっています。
- 1995年、ヨーロッパにおける当社の保有車両は平均210g/kmのCO2を排出していました。
- 1995~2011年に、当社の保有車両がヨーロッパで排出するCO2の量は30%以上低下しました。
- 現在のCO2排出量は145g/kmです。このために、BMWグループは12億ユーロ以上の投資をしました。
- EU法の2015年の目標値もクリアしていきます。
- 私たちは、さらに先を見ています。2020年までに、ヨーロッパのBMWグループ保有車両のCO2排出量を1990年代半ばと比べて半減させたいと考えています。
Efficient Dynamicsテクノロジーは改善を続けています。それは、自動車のCO2排出量規制が厳格化されているためでもあります。
- 米国では、政府が2025年に向けて新しいCO2排出量目標を設定しました。電気自動車には有利となります。保有車両平均を計算する際に、数倍に計上されるからです。
- ヨーロッパではEU委員会が今年半ばに、2020年の保有車両平均のCO2排出量を95g/kmに引き下げるという決定をします。それは大きな挑戦になることでしょう。
この意欲的なCO2目標を全世界で達成するために、BMWグループはプラグイン・ハイブリッドと電気自動車の開発を積極的に進めています。
また、ゼロ・エミッション・モビリティは次のことと結び付いています。
- 持続可能な生産
- 新しい素材の採用
- 革新的なモビリティ・サービス
これらすべてが、BMW Revolution(革命)なのです。
次に、最も重要な第3の要点についてお話します。
私たちは、BMWグループを未来のニーズに対応できる会社にします。
私たちの分野は現在、技術的な大変革の時期にあります。
当社は先駆者あるいは推進者として、この大変革を展開させるつもりです。
そのため、私たちの未来に向けて以下への先行投資を行います。
- 内燃エンジンおよびハイブリッド・テクノロジーなどのEfficient Dynamicsテクノロジー
- 電気自動車などの新技術
- カーボンなどの新素材
同時に、私たちは以下を通じてさらなる効率化を目指します。
- モジュール・システムの採用
- ニューBMW 1シリーズおよびBMW 3シリーズなどの製造コスト削減
このグローバルな世界では、私たちはより強いネットワークを構築する必要があります。
皆様、
BMWグループは極めて革新的です。そのため、私たちは魅力的な協力パートナーになることができます。多くのメーカーがBMWグループとの連携を望むのには、こうした理由があります。
トヨタはハイブリッド・テクノロジーへの道を切り開きました。私たちは現在、リチウム・イオン・バッテリー技術の分野で進展を目指して共同研究を進めています。BMWグループは、最新のディーゼル技術のパイオニアであり、トヨタ・ヨーロッパはBMWの4気筒ディーゼル・エンジンの購入を計画しています。
SGLグループとBMWグループは共同で2011年、米国ワシントン州のモーゼスレイクにカーボン・ファイバーの生産工場をオープンさせました。スチールではない、カーボンやアルミニウムは、私たちにとって自動車産業向けの未来の素材なのです。
私たちは着実に持続可能なモビリティに近づいています。
それを表しているのが、BMW iファミリーです。
2011年、私たちは最初の2つのコンセプト・カーを発表しました。
BMW i3とBMW i8に対するメディアの反応は非常に良好でした。
昨年、私は株主の皆様に、2012年にはステージにBMW iモデルが登場するとお約束しました。そして、これがBMW i8です。極めて燃費のよいプラグイン・ハイブリッドです。何よりも特筆すべきは、これが真のスポーツ・カーだということです。誰にとっても、それは一目瞭然であり、ハンドルを握ると否応なく実感できます。BMW iモデルは、
- BMWの革新力を具現化しています。
- BMWのDNAを具現化しています。
- このDNAを私たちがどう未来に伝えていくかを示しています。
代替駆動システムを本当に普及させたいのであれば、これらの自動車の燃費向上やエミッション抑制だけでは十分ではありません。
皆様、
私たちに必要なのは、「クールな」クルマなのです。
- デザイン、革新技術、デジタル・ネットワーク化によって顧客を魅了するクルマ
- 若い人々も夢中にさせるクルマ
私は、自らBMW i8とi3をテストしてみました。BMWは電気自動車においても駆けぬける歓びを約束します。これは本当です。私たちは、人々に感動を与えます。エンジン・フードの下に隠された駆動方式が何であるかにかかわらず、私たちはエモーションを呼び起こすのです。
BMW iファミリーの生産においても、私たちはサステイナビリティーに関して新たな基準を打ち立てました。
- モーゼスレイク工場では、カーボン・ファイバーの製造に水力発電エネルギーを使用しています。
- ランツフート工場では、そのカーボン・ファイバーを使ってボディ・パーツを製造しています。新しい自然換気コンセプトの採用により、私たちは、製造ホールの冷却に必要なエネルギーを90%削減しました。私たちには、自動車製造におけるCFKパーツ使用のノウハウがあるため、軽量構造でも明らかな競争優位性があります。
- ライプチヒ工場では、BMW i3とi8の組み立てに風力発電エネルギーを利用しています。
持続可能なモビリティには、持続可能な構造が必要です。これは、私たちのプレミアムな約束の一部です。だからこそ、BMWグループはこの7年間、最も持続可能な自動車会社としてダウ・ジョーンズ・サステイナビリティ・インデックスのトップの座にあるのです。
未来のモビリティには、新しいモビリティ形態やサービスも含まれます。
私は昨年、シクスト社(Sixt AG)と連携した新しいカー・シェアリング・プロジェクトについて言及しました。今では、DriveNowが大きな反響を呼んでいるのはご承知の通りです。ベルリン、ミュンヘン、デュッセルドルフで、すでに2万7,000人以上の会員がこのサービスを利用しています。主な利用者は、自動車を所有していない若い人々です。私たちは、これらの人々にフレキシビリティと当社ブランドへの足がかりを提供することができます。
なお、ここにお集まりの皆様も、本日この会場でDriveNowに登録していただくことが可能です。
BMWグループは、ING Car Leaseグループを買収しました。これにより、BMWグループの車両サプライヤーとしての地位が強化されると同時に、新たなサービスの提供が可能になります。ING Car Leaseが加わったことで、私たちの車両サプライヤー「Alphabet」はヨーロッパ5位の規模になりました。
お分かりいただけたように、私たちは、一貫して未来に向かって動いています。
BMWグループは、明日の顧客がいるところを目指します。それは、ソーシャル・ネットワークの世界です。Facebook世代には、現在の顧客とは異なる方法でアプローチしなければなりません。BMWグループでは、5年以上前からソーシャル・メディアを利用しています。つまり、Facebook、Youtube、Twitter、BMWブログです。
Facebookでは、BMWのファンページが急速に拡大しています。
- BMWのファン登録者数は約1,000万人
- MINIのファン登録者数は約300万人
- ロールス・ロイスのファン登録者数は約50万人
ソーシャル・ネットワーク上でこれほど多くのファンを擁する自動車ブランドはほかにありません。私たちは先を見越しているため、ここでもトップの座にあるのです。
皆様、
BMWグループは長期的な目標を設定します。
- 2016年、BMWグループは創業100周年を迎えます。2016年の目標販売台数として200万台以上を目指します。
- また、長期的な収益性も確保し続けたいと考えています。つまり、自動車部門のEBIT率は、8~10%の範囲内にすることを目標とします。これまでのところ、長期間にわたってこれを達成した自動車メーカーは、ほかにありません。
- 2020年の私たちのビジョンは、インディビデュアル・モビリティのためのプレミアム製品およびプレミアム・サービスを提供するリーディング・カンパニーになることです。
ステージ前方にあるこの2台の車両によって、私たちは株主の皆様に、BMWグループが進化と革新の両方をマスターしていることをお見せしたいのです。
私たちは、プレミアム・セグメントの現在を左右する大きな影響力を持っています。
私たちは、モビリティの未来も方向づけていくことになるでしょう。
ニューBMW 6シリーズ グラン クーペは、BMW史上初の4ドア・クーペであり、
- BMWにおいて今後の指針となる先駆的なデザインを備えています。
- アッパー・プレミアム・セグメントの美学と高級感を持っています。
ニューBMW 6シリーズ グラン クーペは、来月発売の予定です。
皆様、
2012年にはさらに、次のモデルが登場します。
- 3ドアのニューBMW 1シリーズ
- ニューBMW 3シリーズ ツーリング
- 改良されたBMW X1、BMW X6、フラッグシップ・モデルのBMW 7シリーズ
- BMW M GmbHは、次の2つの新モデルを投入します。
BMW M6クーペおよびBMW M6カブリオレ - MINIでは、3月にロードスターがMINIファミリーに加わり、6モデルとなりました。今秋には、ファン待望の特殊モデル、MINIクラブバンが登場します。
ロールス・ロイスは、2003年にデビューしたファントム・シリーズIの後継にあたるファントム・シリーズIIを下半期に発売します。つまり、ロールス・ロイスに、新しいデザイン、最先端テクノロジー、最新のネットワークが加わるのです。私は、ロールス・ロイスがファントム・シリーズおよびゴーストにより、究極のラグジュアリー・クラスにおいて成功路線をひた走ることになると確信しています。
そして、スポーティな走りを好むBMWドライバーのために、新たなモデルが登場します。それはBMW M Performance モデルです。高い性能と日常の機能性の両方を求める人にとって、これはまさに最適なモデルとなります。
スポーティ性は、BMWのDNAに刻み込まれています。BMW M GmbHの成功も、それを証明しています。2011年のBMW Mモデルの販売台数は1万9,000台以上に達し、これまでの最高記録となりました。
そして今、Mの文字はモータースポーツ界にも戻って来ました。DTM(ドイツツーリングカー選手権)への復帰を果たしたのです。
市販車をベースにした車両で行われるこのレーシング・シリーズは、BMW従業員の間でも高い人気を集めています。私たちのBMW M3カーは、すでに今シーズン第2戦で1位と3位を獲得しました。本当に素晴らしい結果です。BMWにとって、これはDTMで通算50勝目となる記念すべき勝利でした。最高の成績を収めたBMWモータースポーツ・チームを心より祝福したいと思います。
お集まりの皆様、
株主の皆様、
この一例は、数多くを語っています。次の場合、私たちは多くのことを成し遂げられるのです。
- 私たちがこれまで何をしてきたか知っている場合
- 私たちがこれから何を目指しているか知っている場合
- 私たちの強みがどこにあるか知っている場合
- 私たちが難題をチャンスと捉える場合
これらすべてが、皆様の会社であるBMWグループに共通しています。
私たちは、人々、市場、そして自分自身を突き動かします。
こうして、私たちは日々、モビリティの新しい歴史を記し続けています。
インディビデュアル・モビリティを目指す情熱は、BMWのDNAに刻み込まれています。
- それは、BMWグループの全従業員をひとつに結束させます。
- それは、すべてのBMWグループの製品に隠されています。
独立した自動車グループの中でプレミアム市場だけに展開しているのは、世界中でBMWグループだけです。
次のすべてに関して、私たちは確信を持っています。
- 2012年の成果
- 2016年への目標
- 2020年に向けたビジョン
モビリティとは進化です。私たちが、それを形作ります。
皆様、
- BMWグループに示していただく誠意は報われます。
- BMWグループへの投資継続は報われます。
- この独自性の高い会社の株主として、引き続きご協力をお願いします。
皆様の信頼が私たちの原動力となります。
ご静聴ありがとうございました。