PressClub Japan · Article.
第94回BMW AG年次株主総会スピーチBMW AG取締役会会長Dr.ノルベルト・ライトホーファー
Thu May 15 09:49:00 CEST 2014 プレスリリース
皆様、
これらの映像が示すBMWグループの強さと多様性については、皆様にもご同意いただけることと思います。98年間にわたり、BMWは市場における地位を確固たるものにすべく、健闘してきました。当社の歴史は他に類を見ないものであり、当社を特徴づけ、今日の尊敬されるグローバル・カンパニーとして当社を作り上げてきました。
過去98年間を通じて、当社は進化を見える形で表し、お客様にインスピレーションを与えながら、当社そのものの道筋をつけてきました。このことは、誇りに思ってもよいものと思います。当社はこうした経験の上に成り立っていますが、しかしながらもちろん、視線は未来に向けられています。
BMWの98年間、それは正面から問題に取り組む、不屈の持久力を示す98年間でした。当社は常に課題に立ち向かい、多くの変化を克服してきました。当社は有言実行でことにあたり、約束を果たしています。それにより、お客様、投資家の皆様、そして従業員からの信頼をかちえているのです。
モビリティは当社を形作るものです。重要なカギとなる要素は、当社の革新力にあります。これこそが当社を競合他社から抜きんでた存在にしているものです。当社はお客様のため、社会のため、株主である皆様のために、付加価値を生み出しています。
当社は、自らが関わるあらゆる分野でリーダーであろうと努めています。
それらが、皆様の会社であるBMWグループを比類ないものにしているのです。だからこそ、皆様は当社を信用し、業績に信頼を寄せ、当社と同じように長期的な視野をお持ちになることができます。これらはまた、株主である皆様が投資してくださる理由でもあります。
しかしながら1つ明らかなことは、この世界、私たちの世界は変化しつつあるということです。すべては一層複雑に、よりグローバルになりつつあります。私たちの生活は、成長のスピードがどんどん速くなり、モバイル化が進み、よりつながりのあるものになっています。「絶え間ない変化」が新しい恒常的な要素なのです。私たちは皆、リスクを負って生きていますが、当社も例外ではありません。今直面している政治的・経済的な課題を挙げてみましょう。
- ハイレベルな公的債務
- 南欧市場の低迷
- 間近に迫った多くの発展途上国での減速
- 現在進行中の政治的緊張と紛争
皆様、
世界的な安定と自由は、私たちの繁栄の基盤です。これらが、このグローバル化した世界において、ビジネスや商取引に必要な状況を作り出します。当社は、景気の不安定さ、為替の変動、そして経済危機に適応することを学んできました。
そして、技術進歩のペースの速さや、デジタル革命による影響、エネルギーおよび気候政策における大きな変化にも直面しています。しかしながら政治的な緊張や紛争に関しては、他の方々に頼らざるをえません。
政治的指導者の力量と外交の力に頼らざるをえません。
皆様、
世界は変化しつつあります。「絶え間ない変化」が新しい恒常的な要素なのです。つい先日までトレンドセッターであっても、いつでも市場から消える可能性があることを、私たちは企業として認識しておく必要があります。それゆえ、信頼というものが非常に重要になります。
だからこそ、当社は約束を守ります。成功する企業は、いくつかの基本的な特徴を共有しているからです。それは、
• 達成したことに決して甘んじておらず、
• 自社の発展を推進し、
• 新しいアイデアを実行に移す勇気を持っていること
です。
これらの原則に対し、私は個人的に最大限の努力をしています。取締役会のメンバー全員、および11万人の従業員と共にです。私たちは全員、同じモチベーションを共有しています。それは、駆けぬける歓びへの情熱です。
私たちは一丸となって、現在と未来のモビリティを形作っています。なぜなら、それが私たちの情熱であり、仕事であるからです。これらを踏まえ、改めて皆様を歓迎申し上げます。また、インターネットで参加されている投資家や視聴者の皆様にもお礼申し上げます。
第94回BMW AG年次株主総会に、ようこそお越しくださいました。
皆様、
株主および株主代表者の方々、
BMW関係者の方々、
来賓の方々、
私たちのブランドは世界中で認知されています。多くの人々にとって、BMW、MINI、あるいはロールス・ロイスは夢の実現となっています。そして、そうした人々の夢によって、私たちはナンバー・ワン企業となっています。
世界中でBMWグループよりも多くの車両を販売しているプレミアム・カー・メーカーは存在しません。皆様の会社は、プレミアム・セグメントをリードして、10年以上になります。私たちは、こうした成果を誇りに思っています。そして株主である皆様も、誇りに感じていただければと思います。
トップの地位にある者にとって、選択肢は一つしかありません。それは、トップであり続けることです。それこそ、当社の目標です。ビジネスでの成功とは、当社にとって、良い業績や利益以上のことを意味します。リーディング・カンパニーとして、当社が取る行動において、また従業員や社会に対して、責任を持つことを意味するのです。
当社は成功を収めています。そして成功の道を走り続けることを計画しています。当社は必要なステップを踏んでおり、自信を持って未来を見据えています。
本日取り上げるテーマは次のとおりです。
• 2013年の総括
• 2014年に向けた展望
• そして最後に、BMWグループの長期的な成功の見通し
皆様、
世界的な金融・経済危機の時も、BMWグループは黒字を達成し、株主の皆様に配当をお支払いしました。それに続く4年間、BMWグループは新記録を塗り替え続け、2013年は当社史上、最も成功した年となりました。従来にも増して多くのお客様が、BMWの車両やモーターサイクルを購入してくださいました。
販売台数の概要をお知らせいたします。
• BMWグループ: 196万台
• BMWブランド:166万台
• MINIブランド:30万5,000台以上
• ロールス・ロイス・ブランド:3,630台
• BMWモーターサイクル:11万5,200台以上
これらの数字すべてが新記録となるものでした。
当社はお客様一人一人のために奮闘しています。お客様の希望とニーズこそ、私たちにとって重要な優先事項なのです。当社は、小型車から超高級車、極めて持続可能なBMW iに至る、あらゆる種類のプレミアム・モビリティを提供します。
当社の製品には多くの需要があります。それらが、2013年におけるグループの主要数値の基盤となっています。次に挙げるのは、それらの最も重要な数値です。
• 売上高:761億ユーロ。
• 税引前利益:79億ユーロ。すでに発表したように、これらは2012年と同レベルでした。
• 純利益:53億ユーロ。過去最高益でした。
• 自動車部門の売上高EBIT率:9.4%。これは8~10%という当社の目標範囲の中でも高い数値となりました。
• ファイナンシャル・サービス部門も16億ユーロを超える収益を上げ、当社全体の成功に大きく貢献しました。
• モーターサイクル部門も収益に対して7,600万ユーロの貢献をしました。
こうした数値を見れば、一目瞭然だと思います。当社は2013年の目標をすべて達成しました。
当社は約束を果たしています。
成功は、たゆまぬ努力と決断の賜物です。当社の従業員は、間違いなく2013年に多くのことを成し遂げ、当社の発展に寄与してくれました。当社からの深い感謝に値します。そのため、株主の皆様の前で、改めて感謝の意を表したいと思います。従業員の皆さんの、2013年における並々ならぬ貢献に、感謝いたします。
BMWグループでは成果は報われます。従業員は正当に会社の成功の恩恵を受けます。昔も今も、これは当社の社風の一部です。これは役職に関係なく、すべての従業員に適用されます。このことは、株主の皆様にとってもためになります。
2013年の業績を分かち合うため、ドイツのすべての正社員には、過去最高となるボーナスが支給されます。これは彼らの努力の賜物です。従業員なくして、当社の成功はありえません。
• 当社は若い人々をトレーニングします。
• 当社は従業員に投資します。
• 当社は新しいスタッフを雇用します。
2013トレーニング・イヤーの開始にあたり、1,363名もの研修生がBMWグループでキャリアをスタートさせました。当社では合計4,400名以上の若者に正規の研修を行っています。このようにして、当社そのものの未来を確実なものにするとともに、未来の世代のために責任を果たしています。
若者は私たちの未来です。社会にとっても、そしてもちろん、BMWグループにとっても。
世界は変化しつつあります。私たちは、従業員が常に最新のノウハウを備えているようにする必要があります。そのため、2007年以来、スタッフの職業教育と継続教育のために約15億ユーロを投資してきました。これはEfficientDynamicsテクノロジー・パッケージへの投資額に匹敵する額です。当社にとって、人とテクノロジーは等しく重要です。よくトレーニングされた従業員は、長期的に見て、国際競争に役立つ革新力の確実なポテンシャルとなるからです。
スタッフのトレーニングは、主に未来のテクノロジーに関して実施しています。例えば、軽量構造、エレクトロ・モビリティ、モビリティ・サービスなどです。これは、当社が社会に対して責任を果たしていることを示しています。
将来的には、会社内で適正な資格認定が必要であり、その実現に向けて新しい才能ある人材を選択的に採用しています。当社は2013年に合計7,000名、ドイツ国内のみでも4,500名の従業員を新規に雇用しました。この中には、臨時雇用から正社員になった1,700名も含まれています。当社は、世界中のすべての事業拠点に勤務する従業員に対して責任を持っています。90カ国以上の国の人々がBMWグループのために働いています。当社の成功のカギは、多様性にあります。このことは、皆様にとってもプラスとなります。
株主である皆様は、特に2つのことに関心を持っておられます。配当と株価です。私がここで初めて皆様の前に立ったのは、2007年5月のことでした。そのとき、私は皆様に約束しました。私たちは株価と配当の両方について集中的に取り組み、株主である皆様が当社の成功を適切な形で共有できるようにしたい、と。これは当社のオーナーである皆様の権利です。私はこの約束を守ります。以前も今も。
取締役会と監査役会は、BMW AGの2013会計年度の純利益を踏まえ、普通株1株あたり2.60ユーロ、優先株1株あたり2.62ユーロの配当金の支払いを提案いたします。
これは当社の過去最高の配当金であり、支払い総額は17億1,000万ユーロに達します。すべて合わせると、純利益の32%を株主の皆様に配分することになります。配当率は約3.1%、優先株の株主の皆様には約4.1%となります。
BMWの普通株は、2012年の大幅な上昇に続き、2013年にはさらに16.9%上昇しました。2014年4月23日、BMWの株価は94.39ユーロという史上最高値を記録しました。BMWの普通株の市場価格は、過去10年間で146%上昇し、過去20年間では554%上昇しました。平均すると、年間上昇率は9.8%となります。こうした発展は、将来を見据えた長期的な行動と、利益性のある成長という当社の原則を反映しています。
そして2番目のテーマである、2014年に向けた展望に入ります。
当社は2014会計年度においても成功の道を歩み続けます。
2007年秋、当社は明確に定義されたビジョンとともにNumber ONE戦略をスタートしました。当社の中間目標は、2016年の販売台数を200万台以上とすることでした。この目標は、早くも今年、達成できそうです。
2014会計年度の目標は次のとおりです。
1. 販売台数を200万台以上とし、新記録を達成すること。
2. 前年を大幅に上回るグループ税引前利益を上げること。
3. 自動車部門の売上高EBIT率を8~10%とすること。これはプレミアムについての当社の理解を示すものです。
これらの目標は、当社の自信をはっきりと表しています。
今年の第1四半期は好調で、過去最高の販売台数と収益を記録しました。
• 1~3月の販売台数は、合計48万7,000台以上に達しました。これは第1四半期で過去最高の数字です。
• BMW、ロールス・ロイス、BMW Motorradのいずれも、第1四半期の新記録となる販売台数を達成しました。BMW 3シリーズ、5シリーズ、6シリーズ、BMW X5は、いずれも各セグメントにおいて市場でトップに立ちました。
• グループの税引前利益は21億ユーロを突破しました。これも第1四半期における新記録です。
• 自動車部門の売上高EBIT率は、8~10%という利益性の目標範囲で上半分の数値を維持し続けています。
BMWグループは、成長の新しい局面に足を踏み入れつつあります。
昨年、当社は集中的な投資を行い、資本支出は総額約67億ユーロ、資本支出率は売上高の8.8%となりました。これは7%未満という当社の目標率よりも高い数字です。2014年にはさらなる投資を行う予定です。しかし同時に、企業としての成長を遂げ、それに伴って資本支出率を下げ、再び売上高の7%未満という目標に近づけたいと思っています。これは2016年まで当社の指針となり続けるでしょう。
投資は、私たちの未来を確実にするものです。事業での成功、イノベーション、そして財務力によって、当社にはこうした投資を行うために必要な余力があります。
世界の各市場を概観すると、2014年は自動車産業にとって成長のチャンスの年になると思われます。北米やアジアなどのキーポイントとなる地域では需要が増加しており、ヨーロッパ市場では低迷が終わったように見えます。ヨーロッパは現在、当社にとって最大の市場です。ヨーロッパは当社の3つのブランドの本拠地であり、44%の車両をここで販売しています。
事業環境は不安定かつ不確実な状況が続いており、そのため長期的な戦略が必要となっています。
Number ONE戦略は2020年まで当社の活動の指針であり続けますが、もちろん当社はすでにその先を見据えています。
• 当社はお客様がモビリティのトップ企業に期待することを理解しています。
• 当社は技術的なトレンドセッターとなります。
• それに応じて、当社のブランドを定義し直し続けていきます。
• 当社は、多種多様な需要を踏まえながら成長計画を練るという複雑な作業をこなすことができます。
• そして最後に、当社は将来的にどのように見なされる必要があるのかを理解しています。
私たちは、常に挑戦はチャンスだと捉えています。例えば、CO2を削減しながらダイナミックなパフォーマンスを向上させるEfficientDynamicsがよい例です。ビジョンとして始まったことが、すでにかなり前に実現しています。現在、BMWグループにはCO2排出量が120g/km未満のモデルが39あります。
それゆえ、当社はさらに新しい目標を掲げています。
• ヨーロッパにおける当社の全車両のCO2排出量を、2020年までに1995年のレベルと比較して50%以上削減することを目指しています。
• 生産時の車両1台あたりの資源消費量を、2020年までに2006年のレベルと比較して45%削減することを目指しています。また、将来のある段階において、CO2を排出しない自動車の生産というビジョンを実現することを計画しています。
皆様、
当社はお客様を第一に考えており、2014年にお客様が楽しみにできることをたくさんご用意しています。
• BMW Xモデルは、かつてないほど魅力的になっています。すべては1999年にBMW X5という1つのモデルから始まり、それ以来、330万台以上のXモデルを販売してきました。そして今なお、成功の道を歩み続けています。2014年3月、BMW X1のモデル・アップデートが行われました。続いて、今月中にBMW X3のモデル・アップデートが行われます。7月には、ニューモデルのBMW X4がXモデルに加わる予定です。また、将来に向けて、もう1つ完全に新しいモデルとなるBMW X7を発表しました。世界中のお客様のニーズは極めて多様であり、特に米国のお客様は以前からX5よりも上のモデルを待ち望んできました。ようやく、その期待に応えられます。BMWコンセプトX5 eDriveなどのXモデルは、プラグイン・ハイブリッドとして、より効率性が優れたものになります。今後数年間で、当社はほぼすべてのBMWのモデル・シリーズにハイブリッド・ドライブトレインを導入する予定です。
• ニューBMW 4シリーズもお客様に人気のあることが証明されつつあります。ニューBMW 4シリーズ カブリオレは3月に市場に導入されました。よりスポーティな走りを楽しむ人々向けに、カブリオレのMバージョンが9月から導入予定です。また、ニュー4シリーズでは、クーペとカブリオレに続く第3のモデルとして、グラン クーペが6月にリリースされます。
• さらに2つの新しいMモデルとして、BMW M3 セダンとBMW M4 クーペが6月から導入予定です。
• ニューBMW 2シリーズ クーペは、3月からショールームに並び始めました。
• そして、ここにBMW 2シリーズ アクティブ ツアラーがあります。これはBMW初の前輪駆動モデルです。アクティブ ツアラーは特に実用性に優れた機能的なクルマであり、家族全員のための、あるいはかさばるスポーツ用品のためのスペースがあります。そのためには前輪駆動が最高のソリューションとなります。今年末には、BMW 2シリーズ アクティブ ツアラー向けに3気筒エンジンも用意される予定です。これは新しいお客様にアピールすることを目指しています。大事なのは、あらゆるBMWモデルと同様、アクティブ ツアラーも駆けぬける歓びを体現しているということです。
• 新世代のMINIも市場に導入されています。MINIは永遠に英国のクルマです。今年の後半から、提携しているVDLネッドカーによりオランダでも生産されるようになりますが、それでも変わりありません。
• ロールス・ロイス ゴースト・シリーズIIは秋に納車が開始されます。この大成功を収めているモデルは、ロールス・ロイス・ブランドの目の肥えた顧客層に合わせ、慎重にアップデートされました。
• BMW Motorradは2013年に90周年を迎えました。必ずしもよく知られているわけではありませんが、1923年にBMWが造った最初の車両は、自動車ではなくモーターサイクルでした。それ以来、280万台以上のBMWのモーターサイクルを販売してきました。市場が縮小傾向にあるにもかかわらず、BMW Motorradは成長を続けており、今年は5つのニュー・モデルが導入されます。例えば、R nineTは3月に市場に導入されたばかりですが、このレトロなスタイルのモデルは、すでに今年の話題となっています。独ハンデルスブラット紙は、これを「40年間で最も美しいBMW」と評しました。アーバン・モビリティの分野においても、当社はモーターサイクル向けに新しい章を開きつつあります。BMW Motorradのお客様は、今やC evolutionマキシスクーターにより、純粋な電気駆動システムによる走行を体験することも可能です。
皆様、
以上のように、今年は12のニュー・モデルと4つのモデル・アップデートを含む、魅力的なラインナップとなっていることに、同意いただけると思います。
これは、当社がどれほどダイナミックであるかを物語っています。そしてここから3番目のポイントである、長期的な展望に移りたいと思います。
皆様、
私たちは、利益性のある成長を続けることを目指しています。当社にとって重要な要素は3つあります。それはイノベーション、バランスの取れた成長、そして魅力的なプレミアム・ブランドです。
イノベーションは、当社の将来的な競争力を確実なものにします。BMW i3は革新的です。
• 2009年の年次株主総会で、私は大都市圏向けの電気自動車について発表しました。いわゆるメガシティ・ビークルです。
• 2013年の年次株主総会では、まさにこのホールでBMW i3コンセプト・カーを披露しました。
• そしてi3は、もう昨年の秋から路上を走っています。
その開発にあたっては、意図的に通常の組織の枠外で、ほとんど社内新規事業のようにして行いました。成功により、私たちが正しかったことが証明されました。
• わずか2モジュールから成る革新的なアーキテクチャーを備えた電気自動車は、他に存在しません。
• カーボン・ファイバー製のパッセンジャー・セルを備えた電気自動車は、他に存在しません。
• これほど持続可能な方法で生産される電気自動車は、他に存在しません。
お客様からの需要は、すでに事前の予想を上回っています。今年の初め以来、約6,000台のBMW i3を生産してきました。
BMW i3は、世界中の都市部向けに造られたクルマです。
• 米国はすでに電気自動車にとって最大の市場となっています。アメリカ人のお客様はイノベーションに対して特にオープンだからです。4月下旬に米国で販売を開始したBMW i3にとっても、米国は最も重要な市場になると思われます。
• 中国もエレクトロ・モビリティを積極的に推進しています。中国のお客様は、この秋からi3の購入が可能になる予定です。
エレクトロ・モビリティは、ここヨーロッパでも将来有望です。
• ノルウェーは現在、電気自動車にとって一番の市場です。2010年以降、ノルウェーにおける電気自動車の割合は10倍以上に増加しています。これには理由があります。電気自動車は市内で無料で駐車場を利用することができ、充電のための電気代も無料です。高速道路料金も免除され、専用の車線まであります。つまり、エレクトロ・モビリティが報われているのです。
• オランダでも同様の展開となっています。
• 一方ドイツでは、何としてもポテンシャルを活用する必要があります。正しい方向性を持った政治的イニシアチブや提案は数多く出てきています。それは良いことですが、まだ十分ではありません。
当社はBMW i3によってこの道を切り開き、駆けぬける歓びを持続可能なものにしました。これこそBMWです。
同じことはBMW i8にも当てはまります。まさにここで、その量産モデルをご覧いただけます。皆様は、私たちが本当にこの革新的なスポーツ・カーを生産すると想像されていたでしょうか?
私はBMW i8に試乗する最初の一人となる機会に恵まれました。私にとってi8とは、21世紀のためのスポーツ・カーです。
• これは当社独自のLifeDriveアーキテクチャーを採用した、世界で唯一のスポーツ・カーです。
• 電気モーターと3気筒エンジンを搭載した、初のプラグイン・ハイブリッド・スポーツ・カーです。
• 量産車として初めてレーザー光技術を採用しており、ドライバーは300mではなく600m先まで見通すことができます。夜間によく運転する方には、その良さがきっとおわかりいただけると思います。
BMW i8の納車は、ドイツ、米国、中国、日本、その他の国々で6月にスタートします。
BMW iは当社におけるイノベーションの最先端をいくもので、中心的な役割を果たすのは軽量設計です。このノウハウは、他の量産モデルにも適用され始めています。BMW Mモデルのカーボン・ファイバー製ルーフは、お客様から高い評価を得ています。次期BMW 7シリーズにもカーボン・ファイバーが採用されると、お知らせしてよいかと思います。その軽量さは、このセグメントに非常に高い基準を打ち立てることになるでしょう。
当社の未来の競争力にとって2つ目のカギとなるのは、バランスの取れた成長です。
BMWは個々の市場に依存するつもりはありません。当社は、世界の3大経済地域であるヨーロッパ、アジア、アメリカの間で、売上げをバランスよく配分することを目指しています。生産は市場に従います。
アメリカは当社のグローバルな成長において重要な要素であり、今後もそれは変わりません。
• 現在、米国は当社にとって2番目に大きな単一市場です。私たちは、ここに未来に向けた大きな可能性を見ており、そのため、スパータンバーグ工場の生産能力を増強しています。2016年末から、この工場では年間合計45万台の車両の生産が可能になります。現在と比較して50%の増加であり、これは新工場まるまる1つ分の建設に匹敵します。2014年から2016年にかけて10億ドルを投資することにより、スパータンバーグ工場は当社の世界的な生産網において最大の工場となります。米国は当社にとって第2の故郷です。3月に、スパータンバーグ工場の20周年祝賀会が米国商務長官のご臨席の下で行われました。商務長官は、当社にとって米国の政界および政府機関における多くの信頼できるパートナーの1人です。サウスカロライナ州知事も、BMWの事業は自分たちの事業であると請け合ってくださっています。米国では、このようにして政治と産業がパートナーとして連携しています。
• 今年の秋、未来の成長市場であるブラジルにおいて、新しいBMW工場での生産が開始されます。年間生産能力は、中期的には3万台に達する予定です。
また、ブラジルではBMWは魅力的な雇用主と見なされています。応募件数は3万5,000件に達しており、その中から合計1,300名の従業員を雇用する予定です。
これこそ私たちが「BMW流のグローバリティ」と呼ぶものです。当社は140カ国以上のお客様に車両をお届けしており、13カ国、28の生産施設で操業しています。
また、グローバルな研究・革新ネットワークは、5カ国、12の事業拠点で構成されています。
現在、世界は完全に相互につながっています。BMW Xモデルは、ドイツのバイエルン地方とオーストリアで製造されたエンジンを載せ、米国で生産されており、中国のお客様が運転することもあります。自動車産業は世界的な規模で営まれているのです。
これは、貿易障壁が高いコストとなることを意味します。これは21世紀にふさわしいことではありません。貿易障壁は、生産、購買、販売、マーケティングの間でこれほど密接な依存関係がある米国とヨーロッパの自動車市場の現実に全く合っていないものです。
ヨーロッパは比較的オープンな自動車市場で、輸入車が高い割合を占めています。しかし、米国からの車両に対するヨーロッパの輸入関税は今もなお10%のままです。これには当社のBMW Xモデルも含まれています。米国はEUよりもオープンな市場であり、輸入関税はわずか2.5%です。
VDA(ドイツ自動車工業会)によると、ドイツの自動車メーカーだけでも、双方向の輸入関税に合計約10億ユーロを支払っています。大西洋の両側における自動車産業のグローバルな競争力を格段に高めるために、法律と技術規格の一層の調和を希望したいと思います。
大西洋を挟んだ自由貿易協定は、自動車産業にとってプラスの効果のみをもたらすと思われます。ヨーロッパにおいて強力な産業基盤を維持し、雇用を確保するためには、物品の自由な動きとオープンな市場が必要です。この点に関して、当社はメルケル首相とオバマ大統領を全面的に支持します。
世界の他の地域は、私たちを待ってなどいません。例えば中国です。2000年には、中国の自動車市場はオランダと同じ規模でした。
2005年には、すでにドイツと同じ市場規模になっていました。そして現在、中国は米国を抜いて世界最大の自動車市場となっています。日本も市場を開放しました。日本は一貫した外国貿易政策と対応する協定によって、東南アジアの自動車市場において主要な役割を確保しています。
当社の未来の競争力にとって第3のカギとなるのは、プレミアム・ブランドの魅力です。
『フォーチュン誌』による「世界で最も称賛される企業」500社の番付で、皆様の会社はまたしても世界のトップ15社に名を連ねました。唯一のドイツ企業として、また唯一のヨーロッパ企業としてです。
当社のブランドはいずれも価値が高く、独自性があり、それぞれにブランドが約束するものを備えています。BMW、MINI、ロールス・ロイスのクルマは、お客様に対する約束を象徴するものであり、そうした約束を当社は常に守っています。世界が変化すれば、それを踏まえて当社はブランドを変化させ、慎重にブランドを洗練させていきます。
BMWブランドは、そのあらゆる多様性においてプレミアム・モビリティを体現しています。BMWはダイナミックなパフォーマンスと効率性を、BMW iは極めて持続可能なクルマを、そしてBMW Mは効率性に優れたハイパフォーマンス・モデルを意味しています。
当社のブランドは若い世代にも人気があります。BMWブランドだけでもFacebookで約1,700万人のファンがいます。これは他のどの自動車ブランドよりも多い数字です。
皆様、
BMWグループは、昨年秋のフランクフルト・モーターショーで印象的な展示を行い、自らを明確に位置づけました。私たちは現在のBMWグループを特徴づけるものと、私たちの理念を明らかにしました。
• BMWはプレミアム・セグメントのみに照準を絞ります。これにより当社は特別な存在となっています。
• BMWは自動車業界における進歩の原動力となり、模範を示します。
• BMWは、独立したマルチブランド・グループとして、自社の未来を形成する企業です。
あるアナリストは、BMWについて次のように述べています。
「BMWグループは、現在、その製品構成において、漸進的な自動車技術と革新的な自動車技術の間で他の追従を許さない抜群の組み合わせを実現しています。BMWは極めて魅力的でスポーティなプレミアム・カーを造っており、それによって利益を上げるすべを心得ています。」
言うまでもなく、BMWはプレミアムを体現しています。プレミアムであるということは、先駆者であるということです。プレミアムであるということは、責任を引き受けるということです。プレミアムであるということは、1つの生き方です。私たちは、私たちのクルマが皆様それぞれのエモーションに働きかける製品であるということを知っています。私たちのクルマは人々の心をとらえます。エモーショナルな魅力をたたえていると同時に、実用性にも優れています。日常的なニーズにも応えます。だからこそ、ますます多くの人が当社のクルマに乗るようになっているのです。
予測によれば、今年、自動車市場は新車8,000万台以上に成長します。自動車は、社会に寄与していることにより、未来あるものとなっています。これが自動車産業の存在の基盤です。当社はお客様のために洗練された革新的なクルマを造り、成長と雇用を確保することにより社会的にしっかりと受け入れられています。
自動車産業は、成長と繁栄の象徴です。皆様、このことは、はっきりと述べるに値します。
ドイツは自動車産業を必要としています。
• ドイツでの仕事の7分の1は直接または間接的に自動車に関連しています。
• 自動車セクターほど多くの輸出を行っている産業は他には存在せず、輸出の割合は約75%に達します。
• 研究開発にこれ以上投資している産業はほとんど存在せず、昨年は180億ユーロを超えました。これはドイツにおいて費やされた研究開発費の総額の約3分の1にあたります。BMWグループだけでも、2013年に約48億ユーロを研究開発に投資しました。
ドイツの自動車メーカーとその革新技術は、「メイド・イン・ジャーマニー(ドイツ製)」というレッテルの最高の宣伝となっています。これは生産拠点としてのドイツにとってプラスになるだけでなく、究極的には私たち全員に益をもたらすものです。言い換えれば、モビリティが作り出される地域は大きく繁栄します。このことは、ドイツの地図を一目見れば明らかです。
最近、フォーカス誌がドイツの地域バロメーターを発表しました。繁栄している主な地域の1位はディンゴルフィング・ランダウ、9位はランツフート市でした。ディンゴルフィングには、当社の大型モデルを生産しているBMWグループの世界最大の工場があります。ランツフートには、当社の軽量設計とエレクトロ・モビリティのためのコンピテンス・センターがあります。
これらが示すように、ドイツには強力で未来志向の革新的な自動車産業が必要です。ドイツの人々がこれに頼れるようにする必要があります。BMWグループはそのために全力を傾けます。
ドイツは当社の本拠地となる市場であり、今後もそうであり続けます。
当社の株主である皆様も、皆様の深い関与を通じて、ドイツの自動車産業の未来を信じていることをお示しください。
何にもまして、皆様はBMWグループを信用し、私たちに信頼を寄せてくださっています。私たちと同じように長期的な視点をお持ちです。私は、皆様から寄せられているこのような信頼に感謝いたします。そして、すべての従業員を代表してお礼申し上げます。
私たちは、お寄せいただく信頼が正しいことを証明し続けます。これは皆様に対する私の約束です。
私たちは全力で、決意と情熱を持って、皆様の会社を成功に満ちた未来へと導いてまいります。ご静聴ありがとうございました。