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Industry 4.0:持続可能な生産のためのインテリジェント・エネルギー・データ・マネジメント

エネルギー消費量の低減、プロセス信頼性の向上、製品品質の向上となる「インテリジェント・エネルギー・マネジメント・データ・システム(iEMDS)」の導入により、BMWグループの生産拠点ではこれらの3つのメリットすべてが実現可能となっている。

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  • エネルギー消費削減に向けてBMWグループ工場に「スマート・メーター」を導入
  • 最初のスパータンバーグ工場への採用だけで2,500万ユーロ以上の節減が可能となる見込み
  • 「エネルギー・マスターズ・アワード(Energy Masters Award)」を受賞

 

ミュンヘン発:

エネルギー消費量の低減、プロセス信頼性の向上、製品品質の向上となる「インテリジェント・エネルギー・マネジメント・データ・システム(iEMDS)」の導入により、BMWグループの生産拠点ではこれらの3つのメリットすべてが実現可能となっている。このシステムはインテリジェントな電気メーターをベースにしており、このメーターは生産設備やロボットのエネルギー消費量を常時測定し、BMWのビッグ・データ・ネットワーク・センターでそれらを調整している。そのため、建物や供給構造のエネルギー消費量を記録する既存のシステムに最適に統合することができ、多大なメリットを提供する。これらの「スマート・メーター」によって、過剰消費につながる逸脱値を早期に特定できる。さらにそのデータは、個々の生産設備やロボットの障害や故障の発生を事前に防ぎ、車両生産において求められるプレミアム品質を確保するために役立てることが可能である。

 

インテリジェント・エネルギー・マネジメント・データ・システムは、「Industry 4.0」に関するBMWグループの生産コンセプトの一部であり、その開発は欧州地域開発基金(ERDF)によって支援された。最近開催されたサステイナビリティ・サミットにおいて、BMWグループによるインテリジェント・エネルギー・データ・マネジメントへの包括的アプローチが、ベルリンを拠点とするエグゼクティブ・ネットワークEconiqueの「エネルギー・マスターズ・アワード」受賞の栄誉に浴した。

 

現在、BMWグループはスパータンバーグ(米国サウスカロライナ州)、ライプツィヒ、レーゲンスブルク、ミュンヘン、ランツフートの拠点でiEDMSを採用しており、14ヵ国の計30拠点からなるBMWグループのグローバル生産ネットワークのその他の工場への導入も計画している。BMWグループは、生産時の車両あたりのエネルギー消費量について、2020年までに2006年の水準から少なくとも45%削減することを目標に掲げている。BMWグループは2013年までに31%の消費量削減を達成しており、iEDMSによって生産時のエネルギー消費量を世界全体で年間7%削減することを想定している。このインテリジェント・エネルギー・データ・マネジメントはBMWグループのサステイナビリティ戦略の不可欠な要素であり、環境に優しい車両生産に大きく貢献する。

 

iEMDSパイロット・プロジェクトは、スパータンバーグ工場のBMW X組立て部門で実施された。BMWグループの専門家の推定によると、iEMDSの導入によるエネルギー費の削減額は、この米国の工場だけでも今後10年で2,500万ユーロに達すると考えられている。

 

2012年以降、スパータンバーグ工場では車両組立て部門の80以上の生産設備とロボットにスマート・メーターが装備されてきた。設置からわずか数週間で、個々の設備につきエネルギー費を最大4分の1を削減することができた。例えば、技術的に同じ構造の3つのローラー・ダイナモメーターを比較したところ、そのうちの1つにおいて車両1台あたり他の2つの約2倍の電力が必要とされていたことが判明した。原因は、ベンチレーションのランタイム管理のプログラム・エラーであった。

 

さらに生産/消費データの比較により、休止中にローラー・ダイナモメーターが異常に大量のエネルギーを使用していたことが明らかになった。これは、休止中に車両がテスト装置に残っていたために、設備の自動オフ機能が妨げられて起こったものであった。その他の最適化措置に加えて、iEMDSを介して3つの設備を継続的にモニタリングすることで、初年度に合計10万キロワット時を超えるエネルギー量を削減することができた。

 

BMWグループのビッグ・データ・ネットワークにインテリジェント・エネルギー・マネジメントを統合することで、さらに多様なチャンスが広がる。まず、ロボットや設備の故障発生の可能性を事前に検知し、防ぐことができる。例えば、生産パラメーターは変化していないのに設備のエネルギー使用量が増えた場合、その原因は機能不良や損耗であると考えられる。そのような機能不良や損耗は、ベアリングを締めすぎて機械の作動にさらに力が必要となった場合などに生じる。消費量や電圧が下がった場合は、接着機械への不適切な材料の使用といったプロセス・エラーによるものと考えられる。さらに、個々の生産プロセスのエネルギー必要量に関する正確な情報は、新世代ロボット用、またはアラクアリ(ブラジル)やサン・ルイス・ポトシ(メキシコ)などのBMWグループ新工場のエネルギー供給計画用のコンセプト開発にも利用できる。

 

iEDMSのデータは、ミュンヘンにあるBMWグループのITセンターで記録・解析される。ビッグ・データ・ネットワーク・センターもここに設置されている。生産から得られるデータの大部分を占めるのは、最大80にのぼるコントロール・ユニットのプログラミングや診断結果といった車両関連情報である。その他に、車両が完成した日時 / 場所や完成までの期間に関する情報などの生産関連データがある。

 

 

BMWグループでのIndustry 4.0

BMWグループは最先端の生産ネットワークを有しており、このネットワークの開発は継続的に進められている。現在「Industry 4.0」という用語のもとで公の議論のテーマとなっているアプローチのいくつかは、BMWグループではすでに導入されているか、またはロールアウト段階にある。BMWグループにとって、Industry 4.0とは無人の生産を意味するものではなく、また、必ずしも自動化を推し進めることでもない。ここで重要となるのは、生産や生産計画に携わる人々に最適な支援を提供するために、新技術を合理的に応用することである。インテリジェント・データ・マネジメントのほか、こうしたアプローチには、人間工学的に好ましくない作業手順の大幅な改善を実現する最新のヒューマン・ロボット・システムも含まれている。デジタル世界と現実の世界が融合するにつれて、BMWグループのグローバル生産ネットワークでのより効率的な共同作業を可能にする新たなチャンスが生み出される。今後、モバイル・アシスタンス・システムによって、生産現場の人々にはさらに進んだ支援が提供されるようになるであろう。これらすべての取り組みの中で焦点となるのは、技術的な実現可能性ではなく、実際に最終顧客にまで届けられる、生産技術上の具体的なメリットなのである。

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