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テクノロジー・オープンネス、充実の製品ラインアップ、ノイエ・クラッセが追い風:2025年のBMWグループは成長軌道に
Fri Mar 14 13:42:00 CET 2025 プレスリリース
2025年:予想販売台数は微増+++グループEBTの目標は昨年と同水準+++予想フリー・キャッシュ・フローは増加+++総売上高に対するBEVの予想シェアは微増+++ 一貫性のある戦略:投資額を2024年のピークから削減+++テクノロジー・オープンネスを競争力のある戦略的長所に+++ノイエ・クラッセ初の量産モデルは、BMW iX3+++ツィプセ「未来を見据えた最大規模のプロジェクトの実施と、強力なフリー・キャッシュ・フローの達成」+++2024年:目標達成、BEVの販売台数は顕著に増加+++36%を超える高い配当性向
ミュンヘン発:BMWグループは、販売台数の計画的微増、投資額の抑制、強力なフリー・キャッシュ・フローを柱に、2025会計年度へと踏み出す。
BMW AG取締役会会長のオリバー・ツィプセは、次のように述べた。「BMWグループが常に特別である理由は、たとえ困難な状態にあっても信念を貫くことができるためです。我々は常に2点に焦点を絞っています。短期的な業績と長期的な展望です。我々はノイエ・クラッセとともに、未来を見据えたBMW史上最大規模のプロジェクトを実施すると同時に、強力なフリー・キャッシュ・フローも同時に達成します。」
今年末には、ノイエ・クラッセ初の量産モデルである新型BMW iX3を皮切りに、かつてない規模で新型モデル増産を開始する見通しとなっている。BMWグループは2027年までに、ドライブ・トレインのバリエーションやセグメントを問わず、40以上の新型モデルや商品改良モデルを市場導入する。これらの新型モデルには共通して次世代のテクノロジー群を搭載、ノイエ・クラッセの製品ポートフォリオ全体で順次展開する予定となっている。
BMW AG取締役会会長のオリバー・ツィプセは、次のように述べた。「BMWグループは、数々の新たなテクノロジーにより、大きな飛躍を遂げます。拡張性を最大限まで高め、イノベーションの水準を引き上げて、消費者利益を強化するのです。当社では、セグメントやドライブ・トレインのバリエーションによる区別を設けません。すべての顧客に等しく最新のテクノロジーをお届けします。」
徹底した戦略の実行
BMWグループは2024年、革新的なテクノロジー、モデル・ラインナップ、生産拠点に対し、世界中で投資を大規模に行った。本年は研究開発費と設備投資額が過去最高額となった昨年と比較して、支出が削減する見通しである。これを基盤として、関税が引き上げられてもなお昨年と同水準の税引前利益を目指す。
BMW AG取締役会メンバーで最高財務責任者(CFO)のヴァルター・メルトゥルは次のように述べた。「BMWグループ史上、未来への投資をこれほど大規模に行った例はありません。2024年の投資額は計画通り過去最高額を計上しました。我々の戦略の持続性、そして、我々がこの戦略をいかに徹底して実行しているが明白に示しています。」
グローバル競争上の戦略的な成功要因としてのテクノロジー・オープンネス
製品ラインナップの多様性は、BMWグループが成功するためのカギとなる要素である。BMWグループは地域特有の要件や顧客ニーズに対応できる不動の地位を確立している。ガソリン・モデルやプラグ・イン・ハイブリッド・モデル、電気自動車、そして2028年以降は水素を燃料とする燃料電池車にまで及ぶ、幅広いドライブ・トレインのラインナップを展開している。
熱効率の高い内燃エンジンは、世界中で依然として売れ行きが良く、今後も重要な役割を果たすと目されている。BMWは昨年だけでも、内燃エンジン搭載の新型モデルやアップデート・モデルを15種類以上発売した。すべてのエンジンで長期間、再生可能燃料の使用比率が高いことが認められてきた。欧州だけでも25億台以上の車両からCO2が排出されることを考慮すると、燃料に含まれるCO2を削減することは、最も効果的であり、気候変動に対抗する自動車業界全体の取り組みを大きく後押しする。
BEVは引き続き、BMWグループの成長ドライバーとなる。完全電動化モデルの品揃えは豊富で、全ブランドで15以上のモデルを展開、主要セグメントすべてに完全電動化モデルを擁している。BMWグループは2024年、BEVの全世界販売台数を42万6,536台(+13.5%)と大きく伸ばし、販売台数シェアは17%以上を記録した。MINIでは販売車両のおよそ4台に1台が、ロールス・ロイスでは3台に1台が完全電動化モデルとなっている。
プラグ・イン・ハイブリッド(PHEV)も同様に、BMWグループのテクノロジー・オープンな姿勢と製品ラインナップの電動化を支える重要な要素である。当社最新のPHEVモデルでは100 kmを超える一充電航続可能距離を達成できるため、日常的な走行に対する汎用性が高く、CO2排出量の削減でも大きな効果が期待できる。BMWグループは2024年、プラグ・イン・ハイブリッド・モデルを含めると、合計で約60万台の電動モデル(PHEVとBEV)を販売した。すなわち、総販売台数の約4分の1が電動モデルとなった。
電気自動車の納車台数を新たな高みへ – 2025年の重要なマイルストーン
2025年、BMWは2つの重要なマイルストーンに到達する見込みである。1つ目は、BMW i3とBMW i8の発売以降、完全電気自動車で総販売台数300万台を達成、2つ目は、納車台数150万台を達成することである。
また、新たに販売した車両でのCO2排出量削減に成功したことは、テクノロジー・オープンネスの有効性を強調している。BMWグループは2024年に初めて、EU圏のBMW車が排出するCO2を暫定値ベースで1kmあたり100g未満に抑えることに成功した(WLTP)。
水素を燃料とした初の燃料電池車は2028年に発売
BMWグループは2028年に、プレミアム・メーカーとしては世界で初めて、水素を燃料とした、量産の燃料電池車を発売する予定である。これにより、ゼロ・エミッションのドライブ・トレインに新たな選択肢が仲間入りする。当社はこのゴールを見据えて、トヨタ自動車との関係強化を進めてきた。乗用車用のドライブ・システムを共同で開発、そのシステムを各ブランドに特化した方法にて自社モデル搭載を目指している。搭載予定のBMW車はブランドの製品ラインナップにスムーズに組み込まれ、現在提供中の他のドライブ・トレインと同じように選択できる予定である。
ノイエ・クラッセによる基盤を構築 – BMW iX3が最初の量産モデルに
ノイエ・クラッセの量産は、2025年末に開始予定である。この新世代のBMW初量産モデルには、BMW iX3の名が与えられる。昨年のBMW Vision Neue Klasse Xの流れを汲むこのSAVモデルは、BMWグループの生産ネットワーク初の完全電動化モデル専用の工場であるデブレツェン工場にて、今年末から量産を開始する。2024年末以降、デブレツェン工場では実験的にプレシリーズ車両を生産していた。
BMW iX3は2027年までの間、かつてない規模での増産を展開する。あらゆる種類のドライブ・トレインを搭載した40種類以上のモデルが、短いスパンで続々と登場予定である。BMWブランドの要であるスポーツ・セダンも例に漏れず、2026年のローンチを計画している。
BMW iX3のローンチに合わせて、モジュール方式での実績ある方針に基づき、BMWの製品ラインナップ全体に新たなテクノロジーの数々が組み込まれる。BMWグループはこの開発により、電気モーターのコンポーネント、ディスプレイ投影技術、ドライビング・ダイナミクスの制御機能など数多くの特許を取得、高いレベルのイノベーションを達成してきた。すなわち、今後開発されるモデルはすべて、ノイエ・クラッセの恩恵を受けることになる。これは、デザイン言語についても同様である。
「ソフトウェア・ディファインド・ビークル」のデジタル・ナーバス・システム
BMWグループは次の段階のカスタマー・エクスペリエンスとドライビング・エクスペリエンスを見据えて、「ソフトウェア・ディファインド・コンポーネント」用にコンポーネントや機能性、コネクティビティを徹底的に再設計してきた。その結果生まれたのが、一から再構築を行ったデジタル・ナーバス・システムである。これは最新ソフトウェア・アーキテクチャであるゾーン配線アーキテクチャと4つの「スーパーブレイン」を採用する新たな電気系統の構成である。「スーパーブレイン」と名付けられた高性能コンピューターは、インフォテインメント、自動運転、ドライビング・ダイナミクスのほか、車両アクセスやエアコン、コンフォート機能などの標準機能といった重要な顧客機能を実現する演算能力を備えている。これにより、エレクトリック・コントロール・ユニットの一元化と大幅な削減を実現するだけでなく、車両の演算能力を従来の20倍以上アップさせることにも成功した。このエレクトリック・コントロール・ユニットは、AI機能をはじめとする、今後のソフトウェアや機能アップデートにも確実に対応できる。
4つのゾーンから成るゾーン配線アーキテクチャにより、車両の効率は大幅に向上する。配線を600m短縮、重量を30%軽量にすることで、電気系統の簡素化は顕著になる。また、車両の停車中や充電中などの特定の状況下で「smart eFuses」が不要な電力消費を抑える。開発チームは現在、新たなデジタル・ナーバス・システムのソフトウェア・アーキテクチャの強化をさらに高めるべく、5億行以上のプログラム・コードを含む1,000以上のソフトウェア・モジュールを精力的に開発中である。
このように、電子機器のアーキテクチャを再設計することにより、性能、データ統合機能、効率が飛躍的に進歩する。次世代車両の市場導入後でも、無線アップデート機能を経由して新たなイノベーションが従来より迅速に車両に伝達されるため、車両は常に最新の状態を保つことができる。BMWグループは年間を通じて、路上で行える「無線アップデート」の回数1,000万回以上を目標に掲げている。
一段階上のドライビング・エクスペリエンス
BMWグループは、従来のシステムの10倍の処理速度、100%自社開発、最大限の統合性能を誇る「Heart of Joy」および「BMWダイナミック・パフォーマンス・コントロール」を活かし、ドライビング・エクスペリエンスの観点で大きな飛躍を遂げることになる。将来的にすべての完全電動化モデルに搭載予定の新たな一体型コントロール・ユニットを初めて採用、ドライブ・トレインとドライビング・ダイナミクス関連機能を融合。ドライブ・トレイン、ブレーキ、回生の統合コントロールが、一段階上のレベルに引き上げられる。回生ブレーキで十分な力が得られるため、運転シーンの98%で従来型のブレーキが介入不要となる。結果として、「Heart of Joy」により車両全体のエネルギー効率は最大25%向上する。
「Heart of Joy」が持つ遂行能力や潜在能力は、BMW Vision Driving Experienceで発揮される。この新たな高性能テスト車両では電動化コントロール・ユニットの機能性を極限環境でテスト、最大で18,000 Nmのトルクを達成した。その背後には、このシステムがこれほどパワフルな高性能車両の制御が可能ならば、将来的に量産モデルの要件も満たすことができる、というロジックがある。BMW Vision Driving Experienceは、4月に開催されるAuto Shanghai 2025で「Heart of Joy」の性能を披露する予定である。
ドライバー・オリエンテーションへの着目:新たなBMWパノラミックiDrive
20年以上も前から、BMWグループはiDriveシステムのドライバー・オリエンテーションと直観的な操作性をベンチマークとして掲げた。新型BMW iX3を皮切りに、刷新されたディスプレイと高度な新インテリジェント・オペレーティング・システムにより、次の段階へと歩みを進めることとなる。ここには、ブランドの「手はハンドルに、目は道路に」というアプローチを再解釈し、未来に向けて発展させるという明確な狙いがある。
「BMWパノラミックiDrive」を導入し、ドライバーと車両の双方向通信を実現するセントラル・インターフェースを完全に再設計する。この新システムの要となるのが、BMWパノラミック・ビジョンである。これは、フロント・ウインドーの横全面に情報を投影するというまったく新しいコンセプトである。この機能はBMW 3Dヘッドアップ・ディスプレイ、セントラル・ディスプレイ、マルチファンクション・ステアリング・ホイールという3つの新コンポーネントを加えることで完成する。システム全体はタッチ操作の他、大規模言語モデル(LLM)により新たな水準にまで高められたBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントのボイス・コントロール操作にも対応する。
新たなパノラミックiDriveのインテリジェント機能の柱となるのは、新しいBMWオペレーティング・システムXである。これはAndroidオープンソース・プロジェクトのソフトウェア・スタックをベースに完全に自社開発したもので、アップデートやアップグレード能力も大幅に向上する。新たなオペレーティング・システムでは、パノラミックiDriveの4つの構成要素全体にわたり、車両に搭載した様々な機能を最適に調整、配分すると同時に、顧客それぞれの好みやニーズに合わせたカスタマイズも最大限可能となる。
第6世代のBMW eDriveテクノロジー
BMWグループは、ノイエ・クラッセの電動化モデルに搭載する形で、第6世代のeDriveテクノロジーを導入する。このシステムでは、高電圧バッテリー、電気モーター、BMWエナジー・マスターという3つのコンポーネントを大幅に強化した。BMWエナジー・マスターは、電気駆動システム全体を制御するコントロール・ユニットで、完全自社開発、ランツフートのBMWグループの工場で生産予定です。
BMWグループは将来的に、高電圧バッテリーに円形バッテリー・セルと800 Vのバッテリー・システムを搭載する。この組み合わせから、エネルギー密度の20%向上、充電時間30%短縮、航続可能距離で30%を超える向上という、セルと車両レベルの双方における飛躍的な進歩が期待できる。円形バッテリー・セルはバッテリー・ハウジングの中に組み込み、直接配線される。この新たなコンセプトにより、高電圧バッテリーに要するコストの40~50%削減を目指している。**
e-driveに関して、BMWグループは極めて柔軟かつ拡張可能なモジュラー・システムを採用している。この根底には、自社開発製造されたDC励磁同期モーターがある。xDrive搭載車両には、オプションで非同期モーターをフロント・アクスルに搭載することにより、エネルギー損失を40%減少させ、重量が10%軽くなる。将来的には、1~4個の電気モーター搭載モデルの中から、顧客が好きなものを選択する形をとる予定である。
強力なブランド、多種多様な製品ラインナップ
BMWグループの成功の基盤は、全セグメントを通じたフレッシュで魅力的な製品ラインナップにある。2024年には、新型BMW X3の登場により、トップレベルの人気を誇るモデルの第4世代がデビューした。BMWはこの2年間で、人気の高い2つのセグメントに焦点を当てて、製品を徹底的にアップデートしてきた。エントリー・レベルのセグメントでは、新世代のBMW 1シリーズとBMW 2シリーズ グラン・クーペを市場導入。コア・セグメントでは、BMW 3シリーズとBMW 4シリーズの両方でさらなる開発を進めてきた。そして、BMW iXはアップデートにより、700 kmを超える完全電動航続可能距離(WLTPモード)を実現している。
BMW M GmbHは2024年に、BMW M3 CSツーリング、BMW M5セダン、BMW M5ツーリングをはじめとした広範かつ多様なモデル・ラインナップを基盤として、13期連続で過去最高の販売台数を更新した。今ではBMWブランドの車両の10台に1台がMテクノロジーを搭載していることになる。
新型MINI Convertibleの発売とともに、全部で5つのモデルからなるNew MINI Familyがついに完成した。
ロールス・ロイスは先日、2つ目の完全電動化モデルであるBlack Badge Spectreを発表した。また、ビスポークやコーチビルドのさらなるオファー拡充を目指し、グッドウッドにある生産拠点に3億ポンドを投資している。
BMW Motorradは昨年、過去最高の販売台数を記録した。この成功は、特に人気を集めるGSモデル、新たなヘリテージ・モデルであるR12シリーズ、4気筒シリーズの高性能長距離スポーツ・モデルに裏打ちされたものである。
予定通り、未来への投資額は2024年に過去最高額を更新
BMWグループは、全モデル・シリーズにわたる電動化やデジタル化など、将来のモデル・アップデートや技術革新の拡充に体系的かつ精力的に取り組んでいる。この目標を見据えて、新たな製品や施設の研究開発や設備に対し、2024会計年度中に180億ユーロ以上を投資した。BMWは、5つの高電圧バッテリー組み立て部門の新設とミュンヘン工場の増改築に加え、今年度末から新型BMW iX3の量産を開始するデブレツェン工場(ハンガリー)を新たに建設することで、グローバル生産ネットワークの一層の増強を見込んでいる。
予測通り、BMWグループは2024年の修正版営業目標を達成
予測通り、BMWは9月に設定した2024年の修正版営業目標を達成した。この指針修正の原因となったのは、供給された統合ブレーキシステムのコンポーネントを巡る出荷停止とリコールによる経済的影響、そして中国市場で続く販売台数の低迷である。中国を除けば、BMWは魅力的なプレミアム・カーに対する需要増加の恩恵を受けた。BMWブランドは、中国を除く全世界で年間を通じて4.1%の成長を記録、プレミアム・カー・セグメントにおけるトップの座を強化することができた。年間売上高は、1,423億8,000万ユーロ(2023年:1,554億9,800万ユーロ/8.4%減)を計上した。
ノイエ・クラッセへの投資により過去最高額の投資額を計上
研究開発費は計画通り大幅に増加し、90億7,800万ユーロ(2023年:77億5,500万ユーロ/17.1%増)を計上。通年での研究開発費の比率は6.4%(2023年:5.0%)となった。また、グループ全体の設備投資も計画通り、通年で90億5,600万ユーロ(2023年:88億3,600万ユーロ/2.5%増)を計上。1年間の設備投資額の比率は6.4%(2023年:5.7%)まで増加した。2025年以降は、未来のプロジェクトへの投資額を削減する意向である。
グループ利益(EBT)は修正版ガイドラインと一致
2024年、BMWグループのグループ税引前利益(EBT)は109億7,100万ユーロ(2023年:170億9,600万ユーロ/35.8%減)を計上。グループEBTマージンは7.7%(2023年:11.0%)だった。2024年の第4四半期には、5.8%(Q4/ 2023年:8.6%)のマージンを記録。グループ純利益は76億7,800万ユーロ(2023年:121億6,500万ユーロ/36.9%減)となった。
自動車部門のEBITマージンは6.3%に
自動車部門の利払前・税引前利益(EBIT)は、2024年に78億9,300万ユーロ(2023年:€ 129億8,100万ユーロ/39.2%減)を計上。2024年下半期の営業成績は特に、中国市況と統合ブレーキシステムの不具合を巡る出荷停止の弊害を受けた。EBITマージンは6.3%(2023年:9.8%)となり、修正版の目標範囲である6~7%に収まった。取得原価の配分からBBA資産の減価償却費を除いたEBITマージンは7.4 %でした。また、2024年の第4四半期には、BBA資産の減価償却を除く、5.5%のEBITマージンを計上。同期間に、EBTは合計で約22億ユーロ、EBTマージンは6.5%であった。
自動車部門のフリー・キャッシュ・フローは、将来への投資による182億ユーロの支出を計上したにもかかわらず、1年間で合計48億5,200ユーロ(2023年:69億4,200万ユーロ)であった。また、大規模な在庫処理計画の強い追い風を受け、BMWグループは第4四半期に50億4,300万ユーロのフリー・キャッシュ・フロー(2023年:11億8,300万ユーロ/326%増)を達成した。2025年の同セグメントのフリー・キャッシュ・フローは、設備投資額の削減がプラスに働き、50億ユーロを上回ることが期待される。
2024会計年度の金融サービス部門は、リテール顧客との新車および中古車の新規契約件数を着実に伸ばし、契約1件あたりの融資額も堅調に伸びていることが報告された。市場浸透率(金融サービス部門が新たにリースもしくは融資したBMWグループの車両の割合)は、1年で42.6%まで増加した(2023年:38.2%/ 4.4%増)。
2024年通期の税引前利益(EBT)は、25億3,800万ユーロ(2023年:29億6,200万ユーロ/14.3%限)を計上。収益の変化は、リース期間が終了した車両のリセールにより期待される収益が、前年比で減少したことを反映している。とはいえ、車両1台あたりの平均収益はプラスの値を維持した。この収益は信用リスクや残存価額リスクに対する引当金の増加や、引当金割当金額の増加も反映した値となっている。
配当性向の増加 – € 4.30の配当を計画
BMW AGの株主に帰属する配当性向の目標範囲である純利益の30~40 %を考慮して、また、2025年5月14日に開催される年次総会における承認を前提として、BMW AGの純利益から、26億7,700万ユーロ(2023年:38億200万ユーロ/29.6%減)の未処分利益(ドイツ商法準拠)を株主に分配予定である。ここから導かれる配当性向は、BMW史上最高の36.7%(2023年:33.7%)に上る。したがって、取締役会と監査役会は、普通株式に対しては1株あたり4.30ユーロ(2023年:6.00ユーロ)、優先株式に対しては1株あたり 4.32ユーロ(2023年:6.02ユーロ)の配当を提案する予定である。これにより、2024会計年度の配当は、BMW史上4番目に高いものとなる。
また、自社株買い戻しは依然として株主利益率アップの戦略における強固な柱である。BMWグループは2022年の年次総会で付与された権限に基づき、2024年12月31日時点で、合計6.35%の株式資本を保有している。2025年4月までに合計40億ユーロ相当の株式の購入を終える見込みだ。5月14日に行われる年次総会にて、次の5年以内に発行済み株式資本に占める保有率を10%とするまで買い戻しを継続できるよう、権限の拡充を要請する意向である。
BMW AG取締役会メンバーで最高財務責任者(CFO)のヴァルター・メルトゥルは次のように述べた。「BMWグループは困難の多かった2024会計年度においてもなお、株主利益率を高める戦略を徹底して実践してきました。BMW史上最も高い配当性向を実現し、4.30ユーロの配当という成果を上げています。株主の皆様は、当社の安定した年間配当のみならず、自社株買い戻しからも恩恵を受けることでしょう。また当然ですが、会社の好結果はBMWの従業員にとってもメリットがあります。従業員は利益分配制度や割引株式購入制度により、恩恵に浴しています」
従業員数は前年比で増加
BMWグループは、2024年末時点で159,104人の従業員を雇用している(2023年:154,950人/2.7%増)。この微増はノイエ・クラッセの増産を見越したもので、主に開発部門やIT部門、BMWグループのグローバル生産ネットワークにおける増員によるものです。
2025会計年度の詳細なガイドライン
BMWグループが想定する2025会計年度の変遷は次の通りである:多くの国でインフレが落ち着き、金利引き下げの動きも鈍化することで、2025年には需要がわずかに回復する見通しである。また、BMW 5シリーズやBMW X3、MINIの新モデル・レンジ、新型BMW 2シリーズ グラン・クーペといった新モデルの市場導入の完了を受け、総売上高の微増に期待がかかる。納車台数に占める完全電動化車両の割合は、2024年と比較してわずかに上昇する見込みである。
電動化とデジタル化を推進する戦略は、2025年にも引き継がれる。一方で、出費や投資額は2024年をピークとして減少の見込みである。同時に、中国市場で続く売上不振、関税の引き上げ、サプライ・チェーンに対する継続的な支援が逆風となると想定されている。
このガイドラインは、3月12日から適用された関税引き上げの影響を考慮したものである。上記の要素を鑑みると、グループ税引前利益は前年と同水準***になることが予想される。自動車部門のEBITマージンは5.0~7.0%の範囲に、RoCEは9~13%の範囲に収まる見通しである。
金融サービス部門のRoEは、13~16%に落ち着く見通しである。
また、モーターサイクル部門では売上がわずかに増加し、RoCEが13~17%、EBITマージンが5.5~7.5%の目標範囲に収まると予想される。
これらの目標は、従業員が現在の人数である場合に達成できる想定である。
BMWグループの実際の営業実績は、政治的およびマクロ経済的な状況が変化した場合、現在の予測から乖離する可能性がある。その中でも、現在激化が予想されるグローバルな貿易摩擦が、関税のさらなる引き上げとなって現れた場合には、業績に悪影響を及ぼすと目されている。
BMWグループ – 概要:
| 単位 | 2024 | 2023 | 増減率(%) |
納車台数 |
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自動車 | 台 | 2,450,854 | 2,554,183 | -4.0 |
BMW | 台 | 2,200,217 | 2,252,793 | -2.3 |
MINI | 台 | 244,925 | 295,358 | -17.1 |
ロールス・ロイス | 台 | 5,712 | 6,032 | -5.3 |
モーターサイクル | 台 | 210,385 | 209,066 | 0.6 |
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従業員(2024年12月31日現在) | 159,104 | 154,950 | 2.7 | |
EBITマージン 自動車セグメント | % | 6.3% | 9.8% | -3.5 %-points |
EBITマージン モーターサイクルセグメント | % | 6.1% | 8.1% | -2.0 %-points |
EBTマージン BMWグループ2 | % | 7.7% | 11.0% | -3.3 %-points |
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売上高 | 百万ユーロ | 142,380 | 155,498 | -8.4 |
自動車 | 百万ユーロ | 124,917 | 132,277 | -5.6 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 3,220 | 3,214 | 0.2 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 38,562 | 36,227 | 6.4 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 14 | 11 | 27.3 |
連結調整 | 百万ユーロ | -24,333 | -16,231 | 49.9 |
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利払前・税引前利益(EBIT) | 百万ユーロ | 11,509 | 18,482 | -37.7 |
自動車 | 百万ユーロ | 7,893 | 12,981 | -39.2 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 198 | 259 | -23.6 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 2,511 | 3,055 | -17.8 |
その他の事業 | 百万ユーロ | -25 | -13 | 92.3 |
連結調整 | 百万ユーロ | 932 | 2,200 | -57.6 |
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税引前利益(EBT) | 百万ユーロ | 10,971 | 17,096 | -35.8 |
自動車 | 百万ユーロ | 7,544 | 12,642 | -40.3 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 198 | 258 | -23.3 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 2,538 | 2,962 | -14.3 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 837 | -100 | 937.0 |
連結調整 | 百万ユーロ | -146 | 1,334 | -110.9 |
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グループ法人税 | 百万ユーロ | -3,293 | -4,931 | 33.2 |
純利益 | 百万ユーロ | 7,678 | 12,165 | -36.9 |
普通株式1株当たり利益 | ユーロ | 11.62 | 17.67 | -34.2 |
優先株式1株当たり利益3 | ユーロ | 11.64 | 17.69 | -34.2 |
2 グループの売上高に対するグループ税引前利益の比率。 | ||||
3 普通/優先株式。優先株式1株当たり利益は、優先株式1株当たり0.02ユーロの追加配当を賄うのに必要な利益を、対応する会計年度の四半期にわたって比例配分することにより算出される。 | ||||
BMWグループ – 概要:2024年第4四半期 | 単位 | 2024年 第4四半期 | 2023年 第4四半期 | 増減率(%) |
納車台数 |
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自動車1 | 台 | 696,697 | 717,620 | -2.9 |
BMW | 台 | 616,714 | 631,526 | -2.3 |
MINI | 台 | 78,241 | 84,616 | -7.5 |
ロールス・ロイス | 台 | 1,742 | 1,477 | 17.9 |
モーターサイクル | 台 | 44,349 | 5.9 | |
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従業員(2024年12月31日現在) | 159,104 | 154,950 | 2.7 | |
EBITマージン 自動車セグメント | % | 5.5% | 8.5% | -3.0 %-points |
EBITマージン モーターサイクルセグメント | % | -6.8% | -7.6% | -0.8 %-points |
EBTマージン BMWグループ2 | % | 5.8% | 8.6% | -2.8 %-points |
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売上高 | 百万ユーロ | 36,416 | 42,968 | -15.2 |
自動車 | 百万ユーロ | 34,054 | 37,283 | -8.7 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | 657 | 643 | 2.2 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 9,964 | 9,504 | 4.8 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 4 | 2 | 100.0 |
連結調整 | 百万ユーロ | -8,263 | -4,464 | 85.1 |
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利払前・税引前利益(EBIT) | 百万ユーロ | 1,882 | 4,412 | -57.3 |
自動車 | 百万ユーロ | 1,865 | 3,171 | -41.2 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | -45 | -49 | -8.2 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 312 | 606 | -48.5 |
その他の事業 | 百万ユーロ | -12 | 0 | - |
連結調整 | 百万ユーロ | -238 | 684 | -134.8 |
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税引前利益(EBT) | 百万ユーロ | 2,110 | 3,682 | -42.7 |
自動車 | 百万ユーロ | 1,781 | 3,031 | -41.2 |
モーターサイクル | 百万ユーロ | -46 | -53 | -13.2 |
ファイナンシャル・サービス | 百万ユーロ | 392 | 511 | -23.3 |
その他の事業 | 百万ユーロ | 458 | -212 | -316.0 |
連結調整 | 百万ユーロ | -475 | 405 | -217.3 |
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グループ法人税 | 百万ユーロ | -564 | -1,068 | 47.2 |
純利益 | 百万ユーロ | 1,546 | 2,614 | -40.9 |
普通株式1株当たり利益 | ユーロ | 2.41 | 3.77 | -36.1 |
優先株式1株当たり利益3 | ユーロ | 2.42 | 3.78 | -36.0 |
1 合弁会社BMW Brilliance Automotive Ltd.(瀋陽)の納車台数を含む。 | ||||
2 グループの売上高に対するグループ税引前利益の比率。 | ||||
3 普通/優先株式。優先株式1株当たり利益は、優先株式1株当たり0.02ユーロの追加配当を賄うのに必要な利益を、対応する会計年度の四半期にわたって比例配分することにより算出される。 | ||||
** 第6世代の高電圧バッテリーのコストは、現行の第5世代の高電圧バッテリーと比較して、40~50 %削減の見込み。この数字は、比較可能な電気航続可能距離をベースとしている。
*** 2025年1月1日より、グループEBTに関する展望のレンジが調整された。
詳細については、BMW Group Reportの用語解説をご参照ください。
用語集 – 重要な業績指標に関する説明
納車台数
新車もしくは中古車が、エンド・ユーザー(BMW Financial Servicesとのリース契約を結ぶリース契約者を含む)に手渡された時点で、納車されたものとして処理される。また、アメリカとカナダではこのエンド・ユーザーに、(1) 車両を代車もしくはデモカーとして使用するディーラーや、(2) オークションで社用車を購入するディーラーやその他の第三者、ならびにBMWグループから直接社用車を購入するディーラーが含まれる。納車を行うことができるのは、BMW AG 、BMW AGの海外子会社、BMWグループの小売店、もしくは第三者の独立系ディーラーである。納車の大半は、すなわちBMWグループへの納車報告は、第三者の独立系ディーラーにより行われる。所与の報告期間中に行われたリテール車両の納車と、その特定の報告期間に関してBMWグループが把握している売上とは、直接的な相関関係はない。
配当性向
配当性向は暫定的な値である。取締役会と監査役会は、年次総会の場で1株あたりの固定配当を提示する予定ではあるものの、進行中の自社株買いプログラムにより、配当を受け取る権利のある株式の数は、年次総会までに減少する見込みである。それに伴い、5月14日までに株主に分配される総額も変動する予定である。
EBIT
利払前・税引前利益。利払前・税引前利益は、売上高から売上原価と販売管理費を差し引き、営業外収益や営業外費用の総額を加算もしくは減算して求められる。
EBITマージン
売上高に対する利払前・税引前利益/損失の割合。
EBT
EBITに利子や税金を加算したもの。
PHEV
プラグ・イン・ハイブリッド車(Plug-in-Hybrid Electric Vehicle)。内燃エンジンと電気モーターの両方を搭載した車両。
本件に関する読者および視聴者からのお問合わせ先:
BMWカスタマー・インタラクション・センター
フリーダイヤル0120-269-437
受付時間: 平日9:00-19:00、土日祝 9:00-18:00
BMWウェブサイト: http://www.bmw.co.jp
BMWグループ
BMW、MINI、ロールス・ロイス、BMW Motorradという4つのブランドを擁するBMWグループは、自動車およびモーターサイクルを製造する世界有数のプレミアム・メーカーで、金融サービスやモビリティ・サービスも提供している。BMWグループの生産ネットワークは、世界中にある30以上の生産拠点で構成され、グローバル販売ネットワークは140か国以上で展開されている。
BMWグループは2024年、全世界で乗用車を245万台以上、モーターサイクルを21万台以上売り上げた。2024会計年度の税引前利益は110億ユーロで、売上は1,424億ユーロを計上。2024年12月31日時点で、BMWグループには159,104人の従業員が所属しています。
BMWグループの成功は常に、長期的な思考と責任感のある行動に裏付けられてきた。BMWは早い段階から未来への道筋を定め、あらゆる製品のサプライ・チェーンから製造を経て使用段階に至るまで、戦略指針の中心となる継続的かつ効率的なリソース・マネジメントを徹底して貫いている。